川島雄三の映画は、とにかくカッコいいのである。
この幕末太陽傳でいえば名目上はコメディ映画とされていますが、どうも俺の感性が鈍っているのかどうか、コメディという括りで語ってしまうことに抵抗がある。かといってフラップスティックでもないと思うし、カテゴリするに難しい映画ではあります。
無論、時代背景を考慮すれば「幕末太陽傳」というタイトルには当時のムーブメントであった「太陽族」を比喩するものであるし、その象徴であった石原裕次郎や二谷英明といった青春スターを脇役に配したという点においても、コメディ的ではある。
また、フランキー堺の演じる「居残り佐平次」があまりに川島を投影させたキャラクターであるという点において“コメディ”に相違ないとは思う。
だけど、その背景を考えてしまうと幕末太陽傳という映画は、あまりにも痛い。そもそも川島雄三という人物がコメディを撮るに向いていた人物であるとは思えないのだ。
それでありながら、幕末太陽傳という映画は間違いなく面白い。
凡百のコメディ映画を屁でもひっかけて笑い飛ばしてしまうような、そういうコメディのエッセンスというものが間違いなく、この映画にはある。
とにかく傑作であることには間違いない。
そんな映画のネタバレ含むレヴューは以下から。
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