フジテレビ系列・土曜プレミアムの夏休み企画として、『ミヨリの森』というアニメーションが、去る8/25に放送されました。

(※このエントリは、8/25にUPしたものに、レビューを追加したものです)

「ミヨリ」とは主人公の少女の名前。両親の不仲から父の実家に預けられたミヨリは、幼少の頃の花見の季節、森の精霊の長(おさ)である一本櫻の精から、「森を守るもの」としての資格を与えられていました。
ミヨリには、森の様々な精霊たちを見、また語り合える能力があったからです。
しかしこの夏、田舎を訪れたミヨリからはその時の記憶は失われ、母親に似た、やさぐれた少女(笑)に変わっています。まあ、赤ん坊のときの記憶ですから。
しかし精霊と交流する能力が失われているわけではなく、徐々に「森を守るもの」としての自覚に目覚めていって……というのが、大雑把な概要。


しかし、合掌造の家々、木造の校舎など、今時そうはお目にかかれない充実した農村の風景に、なぜか屋久島のような熱帯樹林の印象を(部分的に)受ける森の描写など、画面的にはちぐはぐな印象を個人的には受けました。

特に、精霊を呼び出す太鼓など重要な(屋根裏部屋の)小道具や精霊から醸し出されるイメージが、どうも南国風に思えることと、合掌造の家並みが重ならないのが惜しく見える。

原作を読んでいないのでいい加減なことは言えないのですが、ダム湖に沈む計画を取り沙汰されるような村であれば、集落の描写は、もっと寂れた過疎なイメージでよかったのでは?

あくまでもファンタジーだからと言ってしまえばそれまでですが、携帯電話などの小道具を用いている以上、やはり時代設定は現代なのでしょうし、それを踏まえれば、「今時、あれだけ充実した村を沈めてまで推進できるダム計画なんか、あるのかねぇ…」だとか、俺の中のイヤラシ〜イ部分が囁いてきます(笑)

逆に言えば、それだけ村の描写が美しかったわけで、環境破壊や自然との共生といった、現代的なメッセージをわかりやすく伝えるにはよかったのかも知れませんが……。

でも俺、基本的に土着的なファンタジーは大好きですから、ちょっとメッセージ色が露骨すぎた部分を除けば楽しめました。

夏の終わりに、よいものを見させてもらったな〜、という印象。

それにしても、ばあちゃんの家の屋根裏部屋、素敵すぎる。
ああいう部屋で暮らしてみたいもんです。続きを読む