mellotron

 1960年代にイギリスで誕生した、テープレコーダーの原理を応用した奇妙なキーボード『メロトロン』。
 同じく磁気テープを使用したチェンバリンの発想をもとに、イギリス人のブラッドレー兄弟が開発したテープ式キーボードは、ビートルズをはじめ数々の大物アーティストに使用されてきました。


 テープレコーダーの原理を応用したキーボードという発想は、1950年代にアメリカ人のハリー・チェンバリンが発明したテーププレイバック式キーボード「チェンバリン」をもとに開発されたもの。
 しかし開発者であるブラッドレー3兄弟はチェンバリンとの直接交渉を行っておらず、彼らの設立したStreetly Electronics社は、すでに特許を取得済みだったチェンバリンのChamberlin Instrument社と特許および知的所有権の侵害で争うこととなります。

 いわばチェンバリンのアイデアを盗用するかたちで開発されたメロトロンでしたが、プログレロックを中心にファンが多く、とりわけキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」で使用されたことは有名です。



 ↓の画像がチェンバリンの初期モデル「M200」。

M200
出典:120 Years of Electronic Music

 メロトロンの構造は、鍵盤の1つ1つに対応した音程の音があらかじめ録音されており、鍵盤を押すことでテープが再生されるというもの。鍵盤を押している間のみ磁気テープが再生され、離すとテープは元に戻ります。
 カートリッジを交換することで様々な音源を再生することが可能で、いわば今日のサンプリング楽器の元祖といえる存在です。

mellotron2
出典:Mellotron - Wikipedia

 動画のメロトロンは初期の3トラック式メロトロンで、左の鍵盤がリズムセクション+伴奏、右がメインセクションとなっており、左右ともに35ずつの鍵盤を持っています。いずれの鍵盤もテープの長さには限界があり、8秒以上の再生を行うことはできないようです。

 メロトロンの生産は1986年に終了しましたが、90年代に人気を取り戻し、そのことは一度は倒産したStreetly Electronics社の復活にもつながりました。
 同社は現在、旧モデルの復旧や別注生産の他、99年にM400の改良型であるMark VIの生産を開始し、以降はMark VII、M4000(下の動画)とアップグレードされたモデルの製造を行っています。



 ちなみにチェンバリンとの係争は、ブラッドレー兄弟が3万ドルを支払うことで66年に和解済み。テーププレイバック式キーボードの特許についても、晴れてStreetly Electronics社が取得することとなります。

 なお、国内ではデジタル・メルトロンのハイエンドモデルM4000Dや、本体をサイズダウンしたM4000D miniの入手が可能なようです。

参考:Wikipedia / candor chasma / Streetly Electronics

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