5月12日に故人となったH・R・ギーガーが『バットマン』に登場するバットモービルのデザインをしていたというのは知る人ぞ知るところだったりしますが、久々に観たデザインはやっぱり凄かった。
今更ながらギーガーは只者じゃないと感じるのは、これを当時、バットモービルのデザインとして提出してしまうというある種の不敵さというか、トンデモなさにあるのじゃないかと思う。
スタッフ一同、目が点の図が容易に想像できてしまう。
ギーガーの手によるラフデザインでは、X構造をしたバットモービルのイメージをハサミに得ており、交点に当たる部分を軸に前後が開脚するという、独特なギミックが想定されていました。
全体的なフォルムは、イカやタコのような軟体動物を思わせます。特に後部を展開し、前部を閉じた状態の全体像はイカそのもの。タイヤについては球形のものを想定しており、それがまた軟体動物の吸盤を思わせます。
(※染色体というご指摘もありました)
バットマンカラーの黒だと、こんな印象です。
有機的でありながらメカニカルなギミックを備えているというのもギーガーっぽくはあるわけですが、これを「俺のバットモービルだ」として提出してしまうギーガーってやっぱり普通じゃないですね。
そもそもどうしてギーガーにバットモービルのデザインを依頼したのか、当時の関係者に小一時間お尋ねしたいような気がしてきます。
そんなこんなで、CGでギーガーズ・バットモービルを再現した人がいたのですが、それがこんな感じです。
いかがですか。知らない人にこの写真を見せて、バットモービルだと理解できる人はまずいないと言っていいでしょう。
ギーガーがバットモービルのデザインを手がけたのは、1995年に公開された『バットマン フォーエヴァー』の製作のため。
あくまでもコンセプトデザインとしての参加でしたが、実際に完成した作品にもギーガーの影響を少なからず感じ取ることができます。
『バットマン フォーエヴァー』のバットモービル
これだけ有機的なデザインが施されたバットモービルは、後にも先にもこれ一台。今見てもセンスがいいんだか悪いんだか、まったくよくわからない異色のデザインです。
もしかしたらデザイナーさんも、ギーガーのラフデザインに感覚狂わされてしまったのかも知れません。というか、このキッチュさが『バットマン フォーエヴァー』の魅力だったりしますけど。
ちなみに、ギーガー空間にギーガーズ・バットモービルを投入してみたら、こんな感じでした。
うは、これわwww
[Via, Mighty Mega]
ネクロノミコン 2 (パン・エキゾチカ) H・R・ギーガー 河出書房新社 2005-03-11 |