若き日のコーマン先生。眼ヂカラ凄い。

　低予算映画の王者、あるいは大衆映画の法王という異名を持つロジャー・コーマンが『ザ・ファンタスティック・フォー』の撮影に至ったきっかけは、1992年にさかのぼります。
　それは当時、マーベル社との契約切れが差し迫り、映画化を急いでいたコンスタンティン・フィルムがオファー先を探していたことによるものでした。

　そして、プロデューサーのベルント・アイヒンガーさんが予定見積もりの4000万ドルの予算を腹案に、白羽の矢を立てたのがロジャー・コーマン先生。
　ところがコーマン先生が行ったのは、想定された予算を140万ドルにまで圧縮し、およ1ヶ月で撮影を終了してしまうという離れ技でした。

ARGH!!!

　そんな感じで完成された映画『ザ・ファンタスティック・フォー』は、当時のコミコンやメディアを通じてプロモーションが行われていましたが、ついに公開されることはありませんでした。
　未公開の理由については諸説ありますが、決定的な理由については明らかにされてはいません。
　あるいは「決定的な理由など無い」のかもしれません。

　ただひとつ確実なのは、この映画が“公式的な意味では”公開されることのなかったこと。また、世界中に熱狂的なファンが存在しており、そのカルトな存在が多くの有志を集め、新たな映像作品として結実したという事実です。
　それが、ドキュメンタリー映画『ドゥームド！（DOOMED! The Untold Story of Roger Corman's "The Fantastic Four"）』という作品。

　希有な存在感を放つカルトSFが、クラウド・ファウンディングなどを通じて賛同者を集め、熱狂的なファン有志による「30年ごしのドキュメンタリー映像として結実した」ことは、なかなか感動的な出来事のように思えます。


[コタク・ジャパン：B級映画の帝王ロジャー・コーマン版『ファンタスティック・フォー』のドキュメンタリー映像]

　そんなこんなで――。
　ロジャー・コーマン版『ザ・ファンタスティック・フォー』のドキュメンタリーについては、あわせてコタク・ジャパンの記事をご参照ください（※文字クリック、および画像クリックで記事に飛びます）。
　予告編動画も観れますよ。

　一連の逸話は、『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』という自伝を残した、ロジャー・コーマンらしいエピソードということができるでしょう。コーマン先生に興味のある方には『コーマン帝国』というドキュメンタリー映画もオススメ。


[付録部：これがオリジナルだ！ 「ザ・ファンタスティック・フォー」ロジャー・コーマン版フルムービー（1994年）]

　コーマン版『ザ・ファンタスティック・フォー』に興味がある人には、こちらの記事も再度重ねてご紹介。コタク経由で付録部に迷い込んだ人もいるかもしれないので、そういう人には特にオススメです。
　フルムービーも観れますよ。

　過去記事では『DOOMED!』についてもちょこっと触れているのですが、そういう意味で2サイトにまたがる記事が姉妹編的な役割を帯びているので、こういう紹介の仕方をしてしまいました。あまり好ましい方法ではないのですが、滅多にないことなのでご容赦のほど。

　なお、ドキュメンタリー『DOOMED!』を入手するには、公式サイトをご参照ください。愛すべきB級野郎たちに乾杯！

Crab Monsters, Teenage Cavemen, and Candy Stripe Nurses: Roger Corman: King of the B-movie Chris Nashawaty John Landis Harry N. Abrams 2013-09-10