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 ヒマラヤ山脈に生息するとされる、未確認生物イエティ。
 日本では雪男として知られ、ヒマラヤではミゴイ、コーカサス山脈のある地方ではアルマスティと呼ばれるなど、その目撃談も広く分布する雪男の正体が、「古代ホッキョクグマとヒグマのハイブリッド」である可能性が浮上しました。
 その研究結果を発表したのは、英オックスフォード大学の遺伝学者であるブライアン・サイクス名誉教授。サイクス教授によると、各国から取り寄せたイエティとされる動物のサンプルを分析することで、その体毛のDNAが古代ホッキョクグマのDNAと完全に一致したことを突き止めたそうです。

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(関連:1967年に米カリフォルニア州ユーレカで撮影されたビッグフット)

 サイクス教授が各国から取り寄せた試料は、約70種。
 いずれもイエティと思しき生物の目撃地から採取されたもので、これらはイエティのDNA解析プロジェクトに合わせて、サイクス教授が各国に呼びかけたサンプルの提供要請に応じて集められたもの。

 サイクス教授は、これらの試料から、27種の優良なDNA検査の結果を得たことで、その一つ一つを保存されている他の動物のDNAデータベースと照合するという作業を行いました。
 その結果、インドのカシミール地方ラダックとブータンで発見された動物の毛のDNAが、古代ホッキョクグマのDNAと完全な一致を示したといいます。

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(イエティのものとされる頭皮を調査するブライアン・サイクス教授(右))

 DNAの比較が行われた古代ホッキョクグマのサンプルは、ノルウェー北端のスヴァールバルで発見された、4万年から12万年前の顎の骨から採取されたもの。また、ラダックから提供されたサンプルは40年前に射殺された動物から採取された体毛で、ブータンのサンプルは10年前に行われた映画撮影の遠征の際に採取された動物の体毛であるとのことです。
 いずれも予想外の結果でしたが、サイクス教授によれば、イエティはホッキョクグマとヒグマの交雑種である可能性が高いとのこと。

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(1951年に登山家のエリック・シプトンが撮影した45cmの足跡)

 いわゆる雪男がヒグマなどの生物の見間違いという説はずっと古くからあったわけですが、今回の研究でそれらが裏付けられたということでしょうか? それにしても、イエティのものとされる体毛と古代ホッキョクグマのDNAが一致したという研究結果と、そのサンプルが10年前に発見された、比較的近年のものであるという点が奇妙ですね。

 サイクス教授は、「今回の結果にはさらなる研究が必要だ」としつつも、「古代ホッキョクグマの血を受け継いだヒグマの亜種が、高ヒマラヤに存在することを意味しているのかもしれない」と語っています。

 ちなみに、ホッキョクグマとヒグマの交雑種はグロラーベアとして知られており、近縁種である両者は生息地が重なっているなどの環境下においては異種交配を行うことが確認されています。


 今回の研究結果について、サイクス教授はすでに査読科学誌で発表するための投稿を済ませており、今週末に始まるイギリスのテレビ番組でも発表する予定だそうです。

[Via.Geekologie, AFPBB News. 動画と画像:Telegraph]

イエティ ヒマラヤ最後の謎「雪男」の真実イエティ ヒマラヤ最後の謎「雪男」の真実
根深 誠

山と渓谷社 2012-06-15

イエティ ヒマラヤ最後の謎「雪男」の真実