History of Diving Suits

 宇宙服の歴史は与圧服から始まりましたが、潜水服の歴史はさらに古く、17世紀後半にまでさかのぼることができるようです。
 潜水服の特徴は軟式潜水服と硬式潜水服に大きく分けられており、1950年代にスクーバが登場するまでは、ほぼ唯一の実用的な潜水方法として活用されてきました。初期段階で考案されたホースで海上から空気を供給するというコンセプトは現在でも受け継がれていますが、機動性が極めて悪く、近年ではスクーバや近代的な送気式潜水に取って代わられつつあるそうです。

■エドモンド・ハレーの潜水鐘と潜水服
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 ハレー彗星の軌道周期を発見したことでも知られるエドモンド・ハレーが、17世紀後半に考案した潜水鐘(せんすいしょう)と潜水服。
 潜水鐘の歴史は古く、1538年にはスペインで原始的な潜水鐘が作られた他、1687年にはウィリアム・フィリップスというアメリカ人が、海底の財宝引き揚げのために潜水鐘を作ったという記録が残されています。
 ハレー式の潜水鐘は1717年に水中作業に使用され、17メートルの水深に1時間半の潜水記録を残しています。


■Pierre Remy de Beauve のダイビング・ドレス
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 フランスの貴族 Pierre Remy de Beauve が1715年に制作した、ダイビング・ドレスと呼ばれる潜水服。吸気用と排気用の2本のホースと、特徴的な顔つきのヘルメットが魅力的です。


■世界初の潜水機、レスブリッジ・ダイビング・マシン
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 密閉されたオール材の樽に、樽を満たす1バレルの空気。ガラスの舷窓と両腕を出すための穴というシンプルな構造のレスブリッジ式ダイビング・マシンは、1715年にイギリス人のジョン・レスブリッジによって考案されました。
 沈没船から貴重品を回収するために製作されたものですが、同じ年にはアンドリュー・ベッカーというイギリス人も同様のシステムを考案しています。


■Karl Heinrich Klingert のダイビングマシン
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 1797年に使用されていたダイビングマシンは、ポーランド出身の発明家 Karl Heinrich Klingert によって開発されました。
 潜水服はシリンダー状に加工されたブリキのプレートで頭部が保護されており、数個の重錘(ウェイト)を装着する他、チューブにも重りをつけることで体の浮上を防いでいました。この当時には、後に標準となる重り付きのブーツを履いておらず、靴も地上を歩くものと大差がなかったことがわかります。


■Chauncy Hall スーツのコンセプトデザイン
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 1810年に考案された、Chauncy Hall スーツのコンセプト。
 海底にテントのようなものを設置し、人はフードのようなものをかぶって海底での作業を行うという感じなのでしょうか。


■世界で初めて採用されたウエイト入りの靴
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 ドイツの August Siebe によって初めて製作された重り入りの靴は、1819年に作られました。防水の潜水服は1837年に採用されています。


■1世紀以上にもわたって使用された、ヘルメットと潜水機材
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 100年以上も使用されていたという、気密ヘルメットと潜水服、空気供給用の手まわしポンプ。軟式潜水服に限っては、現在でもほぼ同様のコンセプトですから、改善する余地がなかったということなのでしょうか。


■20舷窓の重量級潜水服、カルマニョール・ダイビング・スーツ
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 1878年に Alphonse & Theodore Carmagnolle 兄弟によって設計された、20個の覗き窓を装備した硬式潜水服。多重構造の関節を持ち、830ポンド(380キロ)という尋常でない重量を持っていました。
 防水布で水を遮断していたそうですが、その複雑な構造の関節は完全防水には程遠く、潜水服として完全に機能したことはないそうです。

Wikipediaによると、カルマニョール・ダイビング・スーツの特許取得は1882年。ヘルメットの小窓は25個と記されています。

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■ラバーマスクと Fleuss 装置
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 初期スクーバ・ダイビングのパイオニア、Henry Fleuss の考案による Fleuss 装置。ラバー製のマスクと蛇腹状のチューブを備えています。後にガスマスクとして使用されました。


■沈んだ貨物から銅の積み荷を回収
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 1900年、チリ沖のホーン岬近郊に沈んだ海軍のスクーナー船の貨物から、銅の積み荷を回収するために使用された潜水服。


■初めての大気圧潜水服
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 もっとも初期の硬式潜水服のひとつで、中でも大気圧潜水服 (Atmospheric diving suit) と呼ばれるタイプでは世界初とされるもの。M. de Pluvy が製作した1906年の潜水服。


■249キロのアルミニウム合金製潜水服
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 Chester E. Macduffee による製作、重さ550ポンド(約249キロ)のアルミ合金製潜水服。


■潜水服『Neufeldt-Kuhnke』の三世代
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 第一世代モデル(1917-1923)

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 第二世代モデル(1923-1929)

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 第三世代モデル(1929-1940)

 Neufeldt-Kuhnke と呼ばれる潜水服の三世代にわたる写真。第三世代モデルは呼吸装置のリブリーザーを備え、最大525フィート(160メートル)の深さまで潜ることができました。しかも電話を完備しています。


■1925年の鋼のスーツ
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 ロンドン・オリンピアにて撮影された、新しい金属の潜水服。ステイブライト・シルバースチール製の硬式潜水服で、銀色に輝いています。


■減圧室に横たわる学生をチェック
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 ジリンガム・ダイビングスクールで、減圧室に横たわっている生徒を教官がチェックしているところ(1930)。


■給湯器で潜水用ヘルメットを製作
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 使用されなくなった金属製の給湯機を再利用し、ダイビング用のヘルメットを制作する1932年の記事。記事全体を読むには、こちらから(※英文)。

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 クッキージャー(ガラス瓶)を利用してヘルメットを制作することもできるそうです。記事はこちらから


■インフレータブル・ダイビング・スーツ(膨張式潜水服)
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■1人きりの潜水艦スーツ、ワンマン・サブ(1-Man Sub)
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 スーツではなく潜水艦と名付けられた「1-Man Sub」。
 画像では、水深815フィート(約248メートル)の潜水ができることがイラストで示されています。


■マストドンの骨を引き上げる
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 絶滅した大型哺乳類マストドンの骨を引き上げるために使用された潜水服。


■365メートルまで潜れる金属製スーツ
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 1938年の金属製潜水服は水深1200フィート(約365メートル)の深さまで潜れるそうです。


■レギュレーターとタンクの発明
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 世界で初めて、レギュレーター(圧力調整装置)とスクーバ・タンクを装備した潜水服「the Cousteau-Gagnan diving suit」は、1943年のもの。発売は1946年以降だそうです。


■大気圧潜水服の更なる進化
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 長時間の減圧を必要としないため、水深1000フィート(約300メートル)での無制限の作業が可能になった大気圧潜水服は、1974年に開発されました。


■潜水夫と女性のツーショット
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 おまけの画像は、1880年に撮影されたもの。深海用ダイビング・ギアを着た男性と、正装のご婦人とのちょっと奇妙なツーショットです。

[Via.io9]

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ドクター・グリム

グラフィック社 2011-07-07

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