REAL Woolly MAMMOTH

 第二次大戦中の1943年4月、当時「ヤクート・ソビエト社会主義自治共和国」と呼ばれていたサハ共和国の首都ヤクーツクで、謎の映像は撮影されました。マンモスを撮影したのは、ドイツ軍カメラマンであったホルガー・ヒルデブラントという人物。赤軍に捕えられたヒルデブラントが、シベリアへ向かう「死の行進」の渦中で撮影したものだといいます。
 残されている映像は非常に短いものですが、風に長い毛を波打たせるマンモスらしき生き物の姿が映し出されています。

 公開データによると、ヒルデブラントが捕えられたのは、スターリングラード攻防戦の最中。捕虜たちの苛酷な待遇はウィキペディアにも記載されていますが、ヒルデブラントは強制収容所へと向かう極寒の行進の渦中で、マンモスの姿を撮影したと見られています。



 ヒルデブラントは1945年に強制収容所で死亡したと考えられていますが、捕虜たちの遺品は戦後数十年を経てドイツへ返還されました。ヒルデブラントの遺品も家族へ返還されており、その遺品の中から、彼の孫娘が生きたマンモスが撮影されたフィルムの存在に気付いたそうです。

 撮影されたマンモスはケナガマンモスという種であり、別名ウーリーマンモスと呼ばれているもの。更新世後期に生息していたマンモスで、シベリアの永久凍土層からしばしば発見されるマンモスの大半はウーリーマンモスです。

 ちなみに、マンモスは古生物として認知される以前から目撃情報が伝えられており、1580年に当時の騎士たちが「毛の生えたゾウ」を目撃したという記録を始め、1889年にはアラスカで、また1920年にはシベリアのタイガ地帯で猟師が「赤黒い毛を持つ巨大なゾウ」を見たなどの目撃談が伝えられています。
 映像の真偽はわかりませんが、ロマンを駆り立てられるものであることは間違いなさそうです。

[Via.Bigfoot Evidence]

北極にマンモスを追う  先端科学でよみがえる古代の巨獣 (角川ソフィア文庫)北極にマンモスを追う 先端科学でよみがえる古代の巨獣 (角川ソフィア文庫)
鈴木 直樹

角川学芸出版 2012-11-22

北極にマンモスを追う  先端科学でよみがえる古代の巨獣 (角川ソフィア文庫)