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 ダニッチといってもラヴクラフトの幻想小説に出てくる架空の町ダニッチ(ダンウィッチ)ではなくて、イギリス・サフォーク州に実在する海岸線の町のこと。かつてこの地には、洪水によって失われた町の姿があったようです。
 英サウサンプトン大学の研究チームは、“イギリスのアトランティス”と呼ばれる失われた町の姿を、高度な3Dスキャン技術を用いてマップ化することに成功しています。
 記事にする時期を逸してしまいましたが、日本の「しんかい6500」が、アトランティス痕跡のような陸地を発見したというニュースもありましたね。

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(失われた水中遺跡)

 記録されている最初の大洪水は、1287年2月に行われた南イングランド洪水。これにより、ダニッチの海岸線は10メートルほども削られたそうです。
 プロジェクトはダニッチの町の通りやかつての境界線、主要な建築物にいたる正確なマップを作成することを目的としていますが、現実的には堆積した泥に視界を妨げられ、目視による調査はかなり制限されているようです。

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(海底10メートル、セントピーターズ近くのデブリフィールド)

 そのハードルを克服するために採用されたのが、「DIDSON」と呼ばれる高分解能水中音響カメラ。
 プロジェクトは2008年から開始されていましたが、デビッド・シアー教授らは、DIDSONを用いたイメージング技術を用いることで、74の遺跡と、さらに6つの遺跡を加えた痕跡の存在を明らかにしています。
 この試みは非破壊性の海洋考古学としては初めて行われた手法であり、それらは8つの教会を含む町のレイアウトと同時に、正確な地図の作成を実現しています。

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(現在のダニッチのビーチ。古い町並みは海の底に消えています)

 島国であるイギリスの海岸線は常に変化し続けており、コミュニティの多くは、変動と共存することに多大な苦労を要求されてきました。
 シアー教授は「それは自然の容赦のない力をありのままに示す例である」と述べ、地球規模の地殻変動は21世紀の環境問題ではなく、はるか以前から繰り返し行われてきたことを示していると語っています。

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(失われた都市のマップ。1250年と2012年の海岸線を示しています)

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(1050年から2012年にかけての、ダニッチの海岸線の変化)

 沿岸調査の専門家であるピーター・マーフィー氏は、「過去数百年にわたって、ダニッチの中世の街の姿のほとんどは損失して」おり、それらは「将来的により多くの損失が生じる長いプロセスの一部」であると語っています。

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(3次元可視化されたダニッチのチャペル群)

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(セントキャサリンの石造りのチャペル)

 現在のダニッチは、サフォーク州の南に存在する小さな町ですが、それはかつて非常に繁栄した港町でした。
 かつての面積は14世紀のロンドンにも匹敵したというダニッチは、過去7世紀にもわたって繰り返し失われていった“イギリスのアトランティス”の姿を、徐々に明らかにしてくれることでしょう。



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(徐々に失われていった、オールセイント教会の記録写真)

[Via.Daily Mail / Science Daily]

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