THE GREAT MOON HOAX OF 1836

 スピードラーニングの元祖「家出のドリッピー」も懐かしい――といっても誰も知らないかもしれないけど、名優オーソン・ウェルズの「宇宙戦争事件」がアメリカで起こったのが、1938年のことでした。
 火星の侵略者が地球に襲来するというウェルズのラジオドラマが迫真を極めていたことから、市民にパニックを引き起こしたという一種の都市伝説なわけですが、ソコからさかのぼること、ほぼ一世紀。
 なんと1839年に、天文学者が宇宙人騒動に加担していたそうですよ。

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 てなわけで。
 画像に触れてご紹介するのが19世紀の月面人騒動なわけですが、それは実際に行われていながらも巷間知られない、いわば秘史の一つ。
 月面に異文明が存在することを、時の天文学者がなんとなく認めた結果になってしまったというトホホなエピソードがあるようです。

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(画像:wikipedia

 ことの顛末は、1839年に英国の天文学者ジョン・ハーシェル卿が、「月の偉大なデマ(Great Moon Hoax)」と後世になって呼ばれる扇情的なジャーナリズムを看過してしまったというもの。

 記事が掲載されたのは当時のサン紙でしたが、なんだタブロイド紙だったら仕方ない――といってしまうのは後世の人間にとっては簡単なこと。
 むしろ有翼人やユニコーンが存在する幻想的な異世界が月面に存在するという「発見」が、当時の人々に少なからぬエキゾチックな衝撃を与えたという事実が興味深いところです。

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 というわけで、画像はスミソニアン協会が公表している、画家の Leopoldo Galluzzo による当時の月面文明の想像図。
 “神話と科学”が、必ずしも乖離していなかった時代のイマジネーションを知る上で、当時想像されたサイエンス・フィクションのかたちを知ることは極めて興味深いことだと思います。
 ええ、ぶっちゃけ、香山滋小栗虫太郎的に。

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(Via.Visual News / Smithsonian Libraries)

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