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 エチオピアの高原地帯2,000-5,000メートルにしか生息しないゲラダヒヒは、本種のみでゲラダヒヒ属を形成する霊長類の一種。
 岩や急斜面だらけの土地で生息するため、森林やサバンナで生息するサルとは異なる特徴を有しているようです。
 そんなゲラダヒヒですが、米ミシガン大学で生態学と進化生物学を専攻するトーレ・バーグマン博士の研究によると、ゲラダヒヒはヒトと非常によく似た発声方法でコミュニケーションを行うことがわかったといいます。

 バーグマン氏がゲラダヒヒのフィールドワークを開始したのは2006年。その頃から、背後から投げかけられるゲラダヒヒの“言葉”にしばしば狼狽したとバーグマン氏は語っています。
 以来、エチオピアのシミエン国立公園で収集された多くの音声分析を行う中で判明した、豊富な音声レパートリーとその社交的な生き物としてのゲラダヒヒのデータを元にバーグマン氏は研究を行いました。

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(ゲラダヒヒ。特殊な胸の模様から、bleeding heart baboons(出血心臓のヒヒ)とも呼ばれます)

BBC News】(※リンク先に音声プレイヤー)

 バーグマン教授が4月8日に Current Biology で発表した研究によると、他のサルや類人猿の発声は通常1つまたは2つの音節のみで構成されており、ゲラダヒヒのようなピッチとボリュームの変動を欠いているといいます。

 その特徴は「lip-smacking」と呼ばれるもので、人の行う“舌つづみ”や“唇を打つ”ような、声ではない音の周期的な動きのこと。ここではゲラダヒヒが唇を激しく打ち合わせながら行われる発声を含めて報告されますが、研究ではそれを「wobble」と呼んでいます。
 バーグマン氏は、「wobble」で発せられる音声のリズムが人間の言葉とよく似ており、「lip-smacking」をともなうゲラダヒヒの声が、人間の声と構造的に類似した音を発していると指摘。
 波形として分析されたゲラダヒヒの音声データに見られるパターンが、ヒトのスピーチのリズムと酷似していたのだそうです。



 また、いわゆる鳴き声とは異なり、複雑な口の動きを行うと同時に発声することができる点をバーグマン氏は重要視しており、この特徴は(ヒトを除く)他の霊長類には見られないと述べています。
 もしかすると、ゲラダヒヒにみられる特殊な発声方法が、ヒトが言葉を進化させるための重要なステップであったのかもしれません。

(Via.Daily Mail / University of Michigan)

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