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 当時5歳だった少女が、偶然発見した化石が新種の翼竜であったことが判明し、注目を集めています。
 報道によれば、当時5歳だったデイジー・モリスちゃんが化石を発見したのは2008年11月。イングランド南部ワイト島の沿岸部を散歩していたところ、黒ずんだ骨のような物体が砂から突き出ているのを見つけたといいます。

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(発見されたベクティドラコ・デイジーモリサエの化石)

 見つけた化石をデイジーちゃんと家族は自宅へ持ち帰り、サウサンプトン大学の古生物学者マーティン・シンプソン氏のもとに持ち込むことで調査を依頼したそうです。
 その結果、化石が新種の翼竜のものであることが判明。偉大な発見をしたデイジーちゃんの名前にちなみ、翼竜には「ベクティドラコ・デイジーモリサエ(Vectidraco daisymorrisae)」という学名が付けられました。
 学名には「デイジー・モリスのドラゴン」という意味が含まれています。

Vectidraco

 「ベクティドラコ・デイジーモリサエ」は、白亜紀(およそ1億4550万年前から6550万年前)に生息していた翼竜で、アズダルゴ上科と呼ばれるグループに属するとみられています。
 カラスほどの大きさの翼竜で、小型ながらも、同じアズダルコ上科-アズダルコ科に分類される“史上最大級の飛翔動物”「ケツァルコアトルス」と近縁関係にあると考えられるとのこと。

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(ケツァルコアトルスは、翼開長が10メートルにも達します)

 化石の分析を行ったマーティン・シンプソン博士と古生物学博物館のアンドリュー・ファルケ氏は、オンライン科学誌「PLOS ONE」に共著で論文を発表していますが、論文によると、化石は骨盤に当たる寛骨と腸骨の特徴的な部分を比較することで分析されたという。

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 骨盤の大きさから判明したベクティドラコ・デイジーモリサエの大きさは、翼開長で75センチほど。ケツァルコアトルスとは比べるまでもありませんが、尻尾の先までの長さが35センチほどの“大型のカラス”ほどのサイズであったと見られています。

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 また、白亜紀のイギリスは植物の生い茂る温暖な気候であったと考えられており、頭頂部にとさかを持つ小さなベクティドラコ・デイジーモリサエは、鬱蒼と生い茂る密林の中を縦横に飛びまわっていたと考えられています。

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(ベクティドラコ・デイジーモリサエの想像図)

 なお、今回のエピソードに触発を受けた論文共著者のシンプソン氏は、子供向けの本「Daisy and the Isle of Wight Dragon」を著し、出版しています。
 ちなみに、デイジーちゃんと家族は、ロンドンの自然史博物館に化石を寄贈したとのことです。

(Via.ナショナルジオグラフィック / Scientific American / BBC News)

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