Caspian Sea Monster 03

 冷戦時代、ソ連によって開発された地面効果翼機(WIG:Wing In Ground-effect vehicle)「エクラノプラン」は、大型かつ高速展開の可能な輸送戦力として開発され、カスピ海沿岸部に配備されていました。
 アメリカの諜報機関は、翼を切り落とされたかのような奇妙な外観を持つ航空機を“カスピ海の怪物”と呼び、危惧していたといわれています。

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 その開発を1940年代、ロスチスラフ・アレクセーエフという人物の水中翼船中央設計局に見ることができるエクラノプランは、異形のグランドエフェクトビークルとも呼ぶべき機体であり、地面効果の発生を基準として設計されることで、高速性と大量輸送を両立する目的で開発されていたといいます。

 ソースによれば“本質的にはホバークラフト”であるというエクラノプランですが、少なくとも、平坦な面であれば地上、水上、雪上を問わず進むことのできる機体であるという同質の特徴を備えており、高度を飛行する航空機とはその概念を異とするもののようです。

 1961年には最初のエクラノプラン SM-1 が“初飛行”を実施していますが、SM-1は水中翼船に見られるような従来の高速船とは比較にならない高速力を発揮しており、翌年には改良型の SM-2 の飛行が行われています。
 これにより、ソ連海軍での実用に向けた、高速艇かつ輸送機としての実用化が進められることとなりました。

Caspian Sea Monster 02

 その後、エクラノプランの開発はSM-3、SM-4、SM-5、と進められましたが、1964年にSM-5が墜落――SMシリーズにとっての初めての事故は、操縦士が死亡するという悲惨な結果に終わっています。
 そして1966年。小型機による初期実験の教訓を元に、大型のエクラノプラン「KM(корабль-макет)」が建造されます。KMは全長92メートル、積載時の離床重量は540トンという巨大なもので、水上数メートルを時速400キロ以上で巡航することができたのだとか。

 その約20年後の1987年には、全長73.8メートル、翼幅44メートルの大型エクラノプラン、903号計画を銘打たれた「ルン」型が完成しています。
 奇しくもソ連崩壊を間近に控えた頃――。

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(画像:igor113

 というわけで、ご紹介しているのは米国に“カスピ海の怪物”として恐れられた「ルン級エクラノプラン」の画像と現在ですが、ソ連崩壊後の現在では中・小型のエクラノプランの開発を中心として進められており、それらは主に民間使用を視野に行われているようです。

 ちなみに、かつての大型エクラノプランのほとんどは廃棄されてしまったようですが、保存されている機体も存在しており、それはグーグルマップでも確認することができます。



(Via.io9 / 参考:エクラノプラン - ウィキペディア

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