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 イングランドで発見された1901年から翌1902年にかけての撮影と推測されるカラーフィルムの存在は、これまで最古とされてきた1906年のキネマカラーの発明をさらに遡る歴史的な発見といえそうです。

 発見された映像を作ったのは、ロンドンの写真家であり発明家でもあったエドワード・レイモンド・ターナーという人物。
 1899年3月22日にカラー映像の特許を取ったというターナー氏は、実にリュミエール兄弟による映像の発明からわずか5年でカラー映像の特許を取得したということになりますが、もちろんこれは彩色映像ではなく、撮影されたカラーフィルムという意味になります。

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 問題となっているフィルムの存在を発表したのは、イングランド北部のウェスト・ヨークシャー州ブラッドフォードにある英国立メディア博物館(National Media Museum)で、専門家チームによるデジタル技術を駆使することで、フィルムを上映可能な状態にまで再現することに成功しました。



 映像に残されているのはターナーの幼い娘たちやオウム、色の再現のためにクリップ的に撮影された試し撮りなど数点。モノクロフィルムを三原色のフィルターを通して撮影することでカラー映像化しているというものですが、詳細については動画を参照のほど。
 ターナーの特許はパトロンであったフレデリック・マーシャル・リーとの連名によって取得されており、このことから一連の技術は「リー&ターナーの技術」と呼ばれているそうです。


 
 なお、当時はカラー写真の技術の黎明期にもあたっており、リュミエール兄弟により最初期のカラー写真技法であるオートクロームの特許が取得されたのが1903年のこと。
 これまではキネマカラーの発明者であるジョージ・アルバート・スミスがカラー映像の開祖とされてきましたが、今回の発見により、その先鞭となるターナーが名実共に「カラー映像の父」として記録されることとなります。

(Via.BBC News / Guardian)

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千葉 伸夫

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