Tattooed human skin

 都市伝説じゃないんですよ、本当なんです。
 というわけで、文京区本郷の東京大学医学部2号館にある「東大医学部標本室」に収蔵されている、刺青の人体標本を撮影した短い動画をご紹介。

 これらのコレクションは日本病理学の権威である、故・福士政一博士によって明治中期から昭和初期にかけて蒐集された「刺青標本」と呼ばれるもので、美麗な刺青がほどこされた人体を胸腹から切り開き、首から上腕、腿あたりまでの全身の皮膚を剥がし“なめし革”として展示したもの。
 保存のため定期的に塗られるオリーブオイルの効果で、深い光沢が生まれ、生前よりも色鮮やかに絵柄を確認することができるのだそうです。

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(刺青標本と福士政一博士。画像元:frankpicturesgallery.com

 刺青標本の形状は動物のなめし革と同様に大文字形に広げてあり、額装されたものの他、トルソー型に縫い合わされた標本も存在します。
 また「東京慈恵会医科大学 学術情報センター標本館」には、マネキン型に縫い合わされた"総身彫り"の全身標本が存在するらしい。

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 極めて鮮やかな色を示す刺青標本の色彩は、皮を鞣す過程で表皮や脂肪を丹念に削り取り、刺青の色素が定着している真皮層を露出させることで生まれる効果だそうです。

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 また刺青の墨の色が黒ではなく藍色に見えるのは、真皮層に定着した墨の色を表皮層のフィルターを通して見ているために起こる現象なのだとか。
 つまり表皮の飴色とメラニンの褐色が影響しあうことで、墨の色が青みがかって見えるためだそうです。

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(東大医学部標本室の見通し。1957年(昭和32)頃の撮影)

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 子供たちに刺青の標本を示して説明する、標本室の管理のおじさん。

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 献体者の多くは刺青を彫った皮膚の提供と引き換えに、刺青代金や生活費などを福士政一博士が援助した人たちで、かつ献体に遺族が同意した人たちだったそうです。
 もっとも、それ以前に死後も刺青=文身を残したいという強い意思があってこそのことだったと思いますが。

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 1987年刊 「Life and Death Tattoos (Tattootime 4)」に掲載された、標本制作途中の瀧さん(※献体者)の皮を持つ福士勝成氏。
 ちなみに福士勝成氏は福士政一博士のご子息で、日本医科大学名誉教授で病理学者。親子二代の「刺青博士」としても有名な人です。

YouTube - 刺青の人体標本 Tattooed human skin

(引用元.刺青の人体標本【改訂版】 / 歪んだものほど美しい)

 なお、「東京大学医学部標本室」および「東京慈恵会医科大学 学術情報センター標本館」は現在は一般公開されておらず、医学・医療従事者以外の閲覧はできないのだそうです。
 下記の書籍には刺青の標本写真が掲載されており、その一部を垣間見ることができるようですが、記事編集時点ではプレミアついてて些か高い。

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