ITER-Worlds-largest-Fusion-Reactor

 核融合炉は開発中の原子炉の1種で、原子核融合反応を利用した21世紀後半の実用化が期待される未来技術のひとつ。実現すれば、1トンの水素から毎時90テラワットの電気を作り出すことができるともいわれています。

 日本電気協会発行による「電気新聞」は、日本原子力研究開発機構が核融合の持続に必要な材料生産に世界で初めて成功したことを伝えました。生産方法を変更することで加工しやすい材料の大量生産技術を確立したことで、 フランスで建設中の国際熱核融合実験炉 (ITER:イーター) で実施する燃料生産試験に役立つ見込みとのことです(上画像はITER)。

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(画像:ITERって何?

日本原子力研究開発機構は、核融合の持続に必要な材料生産に世界で初めて成功した。 生産方法を変更することで加工しやすい材料の大量生産技術を確立。 フランスで建設中の国際熱核融合実験炉 (ITER) で実施する燃料生産試験に役立つ見込みだ。 核融合原型炉の実現性を高められるほか、自動車向け高性能エンジンの部品生産など一般産業への応用も期待できるという。 きょう28日から神戸市で開催する第9回核融合エネルギー連合講演会で詳細を発表する。

核融合炉は、重水素と三重水素 (トリチウム) の核融合によってプラズマを発生させる仕組み。 重水素は自然界に存在するものの、三重水素は人工的に作る必要がある。 核融合時に発生する中性子をリチウムに充てることで三重水素を生産できる。 ただ核融合を持続させるには十分な分量の中性子が必要。 そのため原子力機構は、プラズマを発生させる配管の内側に中性子を倍増できる材料を敷き詰める方式に着目。 融点と熱伝導率の高いベリリウム金属の化合物 (ベリライド) を候補に挙げて技術開発を進めてきた。

これまではベリリウム金属などの原料粉末を成型焼結してきたが、加工できないほどもろいベリライドしか生産できなかった。 そこで原子力機構は、原料粉末を放電によって清浄してから合成するプラズマ焼結法に生産方法を切り替えた。 国際核融合エネルギー研究センター (青森県六ケ所村) の原型炉実験棟で合成条件の最適化を図り、加工しやすい棒状のベリライドの生産に成功した。
核融合持続に必要な新材料 原子力機構が生産に成功:電気新聞

 日本がんばれ。

 関連リンク
核融合とは:水素爆発についての誤解

(Via.EUROPA(エウロパ) / 参考:国際熱核融合実験炉ITER ウェブサイト)

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