Oryzias sakaizumii 2

 19世紀半ばのシーボルトの紹介以来、一種だけとされてきた日本の野生メダカに、もう一つ別の種が存在することが、近畿大学大学院の博士課程3年・朝井俊亘さんの調査により明らかになりました。

 日本の野生メダカ(目高:ニホンメダカ)は、ダツ目メダカ科に属する体長 4 cm 程の淡水魚。1823年にドイツ人医師であり博物学者のシーボルトが海外に紹介して以来、「オリジアス・ラティペス(Oryzias latipes)」という学名の1種だけとされていました。

Oryzias_latipes
(メスのニホンメダカ)

 1980年代には酒泉満・新潟大学教授が分子遺伝学的な解析を行っており、日本のメダカを青森県から京都府の日本海側に分布する「北日本集団」と、それ以外の地域に分布する「南日本集団」とに大別していましたが、形態的な特徴からの分類学的な検証はされていなかったのだそうです。

 朝井さんは2009年から北海道から沖縄県までの全国を調査し、50カ所以上の地域からメダカを採取して600匹以上の標本を作製し、詳しく形態を調べました。その結果、これまでの「オリジアス・ラティペス」が南日本集団にあたること、北日本集団のメダカは南日本集団のものに比べて、

(1)オスの背びれの切れ込みが小さい
(2)ウロコの輪郭が網目状となり黒っぽい
(3)体側後方に不規則な黒い斑点がある

 などの特徴があることがわかりました。

Oryzias sakaizumii

・新たに分類されたメダカの新種「オリジアス・サカイズミ:Oryzias sakaizumii」。画像 a, がオスで、画像 b, がメス。

Oryzias latipes

・これまで唯一の野生メダカとされてきた「オリジアス・ラティペス:Oryzias latipes」。a, b, 同様。

 また、北日本集団と南日本集団の分布域が接する京都府の由良川水系では両集団のメダカが交配せず、それぞれの独自集団を保っていることが、朝井さんの同じ研究室の調査で確認されていました。これらのことから、両集団は別種と判断されたとのことです。

 朝井さんは北日本集団のメダカを新種として、酒泉教授の姓から取って「オリジアス・サカイズミ(Oryzias sakaizumii)」と名付け、研究成果をドイツの魚類学専門誌「Ichthyological Exploration of Freshwaters」に発表しました。
 なお、新たに分類されたメダカの北日本集団に標準和名はなく、近々別途提唱の予定だそうです。

(Via.サイエンスポータル / 画像転載および論文:Oryzias sakaizumii, a new ricefish from northern Japan [PDF])

世界のメダカガイド世界のメダカガイド
山崎 浩二

文一総合出版 2010-08-03
売り上げランキング : 241164

Amazonで詳しく見る
by G-Tools