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 ドイツ南部のシュヴァーベン・シュラ地域、ギーセンクレステルレ(Geisenklosterle)洞窟の遺跡から発見されていたマンモスの牙やハゲワシの骨によるフルートが、現存するもっとも古い楽器であることが証明されました。

 時代の特定を発表したのは英オックスフォード大学で、トム・ハイアム教授率いる同校と独テュービンゲン大学の研究者によるチーム。特定された年代は40,000年前で、研究チームは改良された「限外濾過法」を用いることで、骨に含まれていたコラーゲンから異物を取り除いたという。

 ギーセンクレステルレ洞窟の遺跡はオーリニャック文化期では最も初期のものであり、同じ文化圏と考えられているイタリア、フランス、イングランドなどの遺跡よりも以前にさかのぼると見られています。

Geissenklosterle
(Geisenklosterle の洞窟 : 画像元

 オーリニャック文化はフランス・ピレネー地方にあるオーリニャック(Aurignac)洞窟を標準遺跡とする、旧石器時代後期に属する一文化。
 ヨーロッパにおいて更新世の最後の氷河期である第4氷期の第1亜間氷期から第2亜間氷期まで続いていたとされており、スクレーパー、ナイフ、彫刻刀など石刃技法が多用されていることも特徴の一つ。
 骨や角に石刃を強く押しつけて、きわめて小さい破片を剥ぎ落として整形していく「押圧剥離」という高度な技法が用いられています。

Grattoir
(発見されたスクレーパー : 画像元

 ドイツ南部シュヴァーベン・シュラ地域にあるギーセンクレステルレ洞窟の遺跡は「ヨーロッパにたどり着いた最初の現生人類が住んだ場所と広く考えられて」おり、今回の年代決定によって「初期の現代人と結びつきのある、上部旧石器時代から始まる文化」とされるオーリニャック文化期が、当初考えられていた42,000〜43,000年前よりも、2,000〜3,000年早く始まっていたことが判明したことになるそうです。
 2009年にはドイツ南西部シェルクリンゲンにあるホーレ・フェルス洞窟の遺跡から、約35,000年前のフルートが発見されています。

 なお、スロヴェニアの遺跡で発見された60,000年前のホラアナグマの骨がネアンデルタール人が作ったフルートだとする説もあるようですが、こちらに関しては多くの考古学者が懐疑的な態度をとっているようです。

 というわけで、6千年前のネアンデルタール人のフルートを復元して、演奏した動画をどうぞ。



(Via.WIRED.jp / Mail Online)

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