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 念のためにことわっておきますが、この記事はマリファナの推奨を意図するものではありません。
 例えば過去記事で、ハードドラッグとソフトドラッグを同じ論拠で語っちゃダメという趣旨のことは書いていますが、個人的見解として、日本がオランダみたいにマリファナを合法化していいのかというと、キネコは完全に「否」の立場なので念のため。

 といっても、「麻薬」という日本語に“麻”という文字が出てくるように、古来より大麻と日本人は浅からぬ関係であったわけです(たまたま駄洒落になってしまいましたが....)。
 というところで、タイトル通りの8項目。
Marijuana-Not-Crack

●その1.マリファナには中毒性がある。
 ひとくちに中毒(依存)といっても、多くのものに依存性は存在しており、定義によってそれは変わる。有るという反面、無いともいえるわけです。
 一例では1994年、カリフォルニア大学のジャック・ヘニングフィールド博士が、アルコール、ニコチン、コカイン、ヘロイン、カフェインの5つの物質とマリファナを比較した結果、依存、離脱、耐性という点において、マリファナはもっとも低いという統計がでています。
 これをもって中毒と定義するのであれば、スターバックスのコーヒーにも中毒性があるといえるでしょう。

●その2.マリファナは「入門薬物」である。
 否定派の識者はハードドラッグへ移行する切っ掛けを見つけるためにマリファナに手をつけると主張しますが、統計的にそれは否定されます。
 2008年に行われた調査では、前の月にマリファナを吸ったアメリカ人1520万人に対して、コカイン使用者は190万人、ヘロイン使用者は20万人。2010年に同じ調査を実施したところ、マリファナを吸った人数が1740万人と増加していたのに対して、コカイン使用者は150万人と減少、ヘロイン使用者の数は変化しませんでした。
 マリファナが入門薬物であれば、マリファナの使用者増加と共にコカインやヘロインの使用者も増えるはずですが、その数は同期していません。

●その3.マリファナに医療効果はない。
 マリファナが痛みの軽減や吐き気の抑制、食欲の増進や筋肉の痙縮の軽減につながるなどの医学的効果における研究は多くなされています。また、アメリカの国立がん研究所は、マリファナはがんの進行を防ぐ効果をもたらす可能性があるという報告を発表しています。
 最終的な結論が出るにはさらなる研究が必要ですが、日本の現状では、その研究がなされる前提条件がクリアされていません。

●その4.マリファナを吸うと肺がんになる。
 マリファナは煙草と同様に癌の原因になるとされますが、マリファナに高濃度での癌の原因物質が含まれるという科学者たちの主張に対して、依然としてその論拠となりうる物質は発見されていません。
 因果関係を明らかにするために行われたもっとも大規模な研究結果では、生涯で2万2000本のマリファナを吸ったヘビーユーザーにも、肺がんのリスクが高まる傾向を見つけることはできませんでした。

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●その5.マリファナの安全な投与量とは?
 アメリカ政府の規定により、スケジュールIという規制品目でマリファナは危険薬物に分類されています。
 そのようなことからも、マリファナに安全な投与量は存在しない、吸うと死に至る、などと考えられることがありますが、実際には「マリファナの吸いすぎにより死亡した」例が報告されたことはありません。
 推測として、15分間で1500ポンド(680キロ)のマリファナを摂取すれば死に至りますが、もちろんこれは実現不可能な量です。

●その6.医療用大麻の合法化で、常用するティーンエイジャーが増加する。
 懸念を拡大すればキリがありません。あくまでもアメリカの例ですが、マリファナを合法化すれば常用する10代が増えるという意見があります。
 これは心情としては理解できます。ただしアルコールやカフェインを同様のソフトドラッグと認識できている限りにおいては。
 例えば医療用マリファナを合法とするロードアイランド州の研究者による比較では、非合法のマサチューセッツ州とのティーンエイジャーのマリファナ摂取率に差は見受けられなかったそうです。

●その7.マリファナ(大麻)と麻(あさ)は同じ。
 厳密な区別は各自でお調べ願いたいところですが、広義での「アサ」は麻繊維を取る植物の総称であり、アマ科の亜麻やイラクサ科の苧麻(カラムシ)、シナノキ科黄麻(ジュート)、バショウ科マニラ麻、リュウゼツラン科サイザル麻がアサと呼ばれています。

 大麻の原料であるカナビスと麻は同じアサ属の植物であるものの、異なる植物であり、いわゆる“マリファナ”は、大麻草の葉および花冠を乾燥または樹脂化、液体化させた加工物を指しています。
 本来の麻は、マリファナの主成分である、テトラヒドロカンナビノール(THC)という物質を多く含んではおらず、むしろ、カナビディオール(CBD)というTHCの作用を阻害する物質をより多く含んでいます。
 そのため、麻は大麻と違って、いくら吸ってもハイになることはない――とのことです。

MARIJUANA
(疲れた....。こっちのオネーサンの方がよっぽどハイになれます)

●その8.マリファナは病気を治療できる。
 「その3」に準じますが、マリファナには苦痛を和らげる効果があり、特に食欲不振、吐き気、筋肉の痙縮の緩和などに効果があるとされています。
 しかしながら、医療用マリファナが認められている州においても医師に認められているのは処方ではなく「推奨」することまで。
 理由といえば、記述「その5」のスケジュールIの規制品目にマリファナが含まれているからですが、同じ理由で、マリファナは他の薬と同じ厳格な臨床試験が実行されていません。

(Via.The Huffington Post)

 さて、文字ばかりでお疲れさまでした。
 先のオランダの例を取っても、賛否はともかく、ソフトドラッグを明確に位置付けることで、ハードドラッグとソフトドラッグを制度上で区別できるという、益の部分も確実にあるわけです。もちろん、依存の細大、被害の大小は各自のご判断におまかせするところですが。

 ただ皮肉なことに、これらの合法的とされる論拠はいまだ完全なものではありません。合法的な大麻の栽培ポットは、ミシシッピ大学の農場にあって、その研究の時を静かに待つばかりだとのことです。

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