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 若きチャールズ・ダーウィンによってコレクションされた化石のコレクションが160年ぶりに発見されたというニュースは、博物誌あるいは生物学史にとっても重要な発見だといえそうです。
 偶然にほこりまみれのキャビネットから見つかったスライドのコレクションは、1830年代に行われたビーグル号での5年の航海の間に、ダーウィンらによって南アメリカで採取されたというもの。
 
 貴重な314のスライドは、ロイヤル・ホロウェイの古生物学者ハワード・ファルコン-ラング博士によって発見されました。

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(ビーグル号航海当時とされる若きダーウィンの肖像)

 ダーウィンの化石が発見されたのは、ノッティンガムシャーのキーワースにある英国地質調査所(British Geological Survey :略称:BGS)。
 まるで洞窟のような広く深い貯蔵庫で、ラング博士が幾つかの化石を探していたところ「未登録の化石植物」とラベルの書かれた古いキャビネットを見つけたのだそうです。

 ラング博士は述べています。
「引き出しの一つを開いた瞬間、私はミステリーに抵抗することができませんでした」そして、「そこで見つかったものは、私の顎をほとんど落とさせました。何百もの美しいガラスのスライド、最初に手に取ったものには“C.ダーウィン Esq(C. Darwin Esq) ”とラベルが付けられていたのです」。

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「これはダーウィンのワーキングライフの素晴らしいスナップショットです。そして科学の歴史においても、最も刺激的な出来事の一つといえます。これらは進化の理論を持つ人物の考えを形成させました、そして、それは世界を変えたのです」

 これらのスライドは顕微鏡で調べることができるように、スライスされた化石を研磨し、2枚のガラス板で挟むことで形成されています。

「恐竜のいた後期の時代から100万年前までの木の化石が含まれています。これはまさに”本物のジュール・ベルヌの世界“なのです」

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 これらのスライドは1846年、ダーウィンの親友でもあった植物学者ジョセフ・フッカーに委ねられていたものですが、英国地質調査所で働いていた彼はスライドのコレクションをカタログするための標本の分類作業を終了させる前に、ヒマラヤへの航海に行く機会を提供されたのだそうです。

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(植物学者ジョセフ・フッカーの肖像写真)

 その後、封印されたコレクションは1851年にロンドンのチャリングクロスにあるグループ本部へと移動され、1935年にはサウスケンジントンの地質標本館に移動。それから半世紀の間はノッティンガムシャー州に――しかしその間、キャビネットが開かれることはありませんでした。

 地質調査研究所のジョン・ルデン博士は「これは非常に驚くべき発見です」と語り、こう付け加えました。
「これらの発見は、まだ私たちのコレクションの中に、重大な発見が埋もれているかもしれないという可能性を抱かせます」

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 なお、JDフッカーのスライドコレクションの一部は、British Geological Survey(英国地質調査所:BGS)で確認することができます。

(source.Mail Online)



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