キングオブ・ポップに似た猿が発見された――ファンにとっては不本意かもしれませんが、そんな話題を呼ぶ新種の猿が発見されました。
2011年の春に撮影されたという、ミャンマー北部の密林でうずくまるシシバナザルの新種(学名:Rhinopithecus strykeri)。写真が公開されたのは2012年の上旬のこと。
ニックネームを「スナビー(しし鼻)」というこの猿は、新種といえど発見自体は2010年にさかのぼります。それまでは死んだ個体しか発見されていなかったのだそうです。
(死後に発見されたスナビー。画像転載:nationalgeographic)
そこで今回、環境保護団体の「ファウナ&フローラインターナショナル(FFI)」が、自動撮影装置(カメラトップ)を設置し、初めて生きたスナビーの撮影に成功したというわけです。
FFIの動物写真家ジェレミー・ホールデン氏は「正直、あまり期待していなかった」と当時を振り返っていますが、設置したカメラを順にチェックしたところ、4台目に、不鮮明ながらも生きているスナビーの姿を確認。
さらにジャングル高所に設置したカメラでは、ほぼ正面と言える角度からの撮影に成功していたとのこと(下写真)。
(撮影に成功したスナビーの写真)
同様に、カメラトップが撮影した写真の中には、子供を抱きかかえるシシバナザルの新種の姿もとらえられており、FFIのフランク・モンバーグ氏によれば「特に夏は、タケノコを目当てに木から降りてくる」のだそう。
かなり広範囲に生息しているために生態の鮮明がほとんど掴めていないそうですが、興味深いことに、豪雨になると居場所がたちまち判明します。
理由は、上向きの鼻に雨粒が入ってくしゃみを始めるから。
(子どもを抱きかかえる新種シシバナザル(スナビー))
(ますます似てる気がする、マイケル・ジャクソンとスナビー)
これまでは死んだ個体しか発見されなかったスナビーですが、今回の撮影によって、「実際に生きているばかりか、群れの中で繁殖もしている。絶滅してしまったかと思って心配したが、これでひと安心だ」と関係者。
しかしながら、「住みかのジャングルには、まだ開発の手がほとんど及んでいない。しかし、カメラトラップの設置地点から程近い場所では、高価な木材を求めて森林伐採が進んでいる」とモンバーグ氏は懸念を示しています。
一方、この貴重な新種のサルの生息地として名指しされたミャンマー森林局は、生息域を新しい国立公園に指定するよう働きかけています。
「(しかし)時間の問題だ。結論が出る間にも森林伐採はどんどん進む」とモンバーグ氏の不安は尽きません。
(source.ナショジオ / 2 / 3 / 4)
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