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 とうとう霊長類のキメラが誕生したようです。

 米オレゴン国立霊長類研究センターの研究チームは、混合胚をもつサルの作製に世界で初めて成功したことを医学誌「Cell(細胞)」電子版に発表しました。最大6個の異なる胚から出来た細胞を混合させたもので、医学研究に大きな前進をもたらしうる成果とのことです。

 同センターの研究チームが作製したのは、最大6個の異なる胚からできた細胞を混合させた、キメラのアカゲザル。
 受精卵または初期胚を複数融合させて「キメラ」を作製する試みは、これまでは主にげっ歯類を対象に行われてきましたが、霊長類によるキメラ作成の試みはこれまで失敗に終わってきました。

 肥満、心臓病、不安神経症、糖尿病、パーキンソン病などの研究目的で、特定の遺伝子を不活性化させたいわゆる「ノックアウト」マウスを作製することは、今や当たり前に行われており、研究は異なる胚の細胞、合体せずに共同作業することで行われました。

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 通常、“ノックアウト”マウスは研究室で培養した胚性幹細胞(ES細胞)をマウスの胚に導入することにより作製されますが、サルの胚が培養されたES細胞との融合を拒絶するため、この方法はサルには通用しませんでした。

 そこで同大の立花真仁研究員らは、完全な成体や生命を維持する組織などに分化する前の「全能細胞」の段階で、細胞を混ぜ合わせるという新たな手法を試みます。そのことにより、細胞自体は融合しないまでも共存し、組織は器官を共同で形作っていったとのこと。

 こうして誕生したのが、3匹の“キメラ“アカゲザルの赤ちゃん。
 いずれも導入された異なる胚すべての遺伝形質をもっており、それぞれに健康体であるとのこと。3匹は「ヘックス」「キメロ」、うち1匹は、最大6種の胚が混合していることから、日本語で「ロク」と名付けられました。

 なお、同センターは2000年、未受精卵の段階で余分なDNAを挿入されたサル「ANDi」の作製に世界で初めて成功しているそうです。

(source.AFPBB News / YOMIURI ONLINE)

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