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 米ハワイにあるジェミニ北望遠鏡の観測によって、これまでで最大の質量をもつブラックホールが別々の銀河に2つ発見されました。

 発見したのはアメリカとカナダの研究チームで、それぞれのブラックホールの質量は、実に太陽の100億個分。
 発見されたブラックホールの一つは、3億2000万光年先の“しし座銀河団”にある「NGC 3842」、もう一つは3億3600万光年先にある“かみのけ座銀河団”にある「NGC 4889」で、いずれの銀河もアマチュア向けの天体望遠鏡でも観測できる巨大楕円銀河なのだそう。

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(※参考:天の川を背景に、太陽質量の「10倍」のブラックホールを想定したシミュレーション画像)

 ブラックホール とは、きわめて高密度で大質量で、きわめて強い重力のために、物質だけでなく光さえも脱出できない天体のこと。
 100億年以上前の誕生して間もない頃の宇宙には、超大質量のブラックホールが多く存在したと考えられており、そのことはこれらのブラックホールを擁したクエーサーからの光により判明しました。

 この度の発見は、現在の宇宙において、大型ブラックホールがどこに潜んでいるかという謎の一端を明かす成果として期待されています。

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(※今回、しし座銀河団(Abell 1367)の銀河NGC 3842で見つかったブラックホールのイメージ図)

 チームの一人Chung-Pei Ma氏によると、「初期の宇宙では非常に活発なクエーサーだったものが、現在見られる静かな巨大楕円銀河になっていったのでしょう。これらの銀河の中心にあるブラックホールはガスを引き寄せるような派手な活動はせず、ひっそりと目立ちません。そばを回る恒星に及ぼす重力でやっとその存在がわかるのです」とのこと。

 なお、これまででの最大のものとされていたのは、2011年1月に発表されたブラックホールで、M87銀河(おとめ座)にあり、太陽の63億倍の質量だったということです。

(source.AstroArts / CNN.jp)

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