zu3

 PETやMRIでは発見が困難だった微小がんを、スプレーするだけで発見できる技術が開発されました。
 研究を行ったのは東京大学大学院医学系研究科の浦野泰照教授らの研究グループ、開発されたのは「有機小分子蛍光プローブ」と呼ばれる生体内の物質を可視化するための蛍光色素を、極めて少量患部にスプレーするだけで、がん部位を高選択的に光らせるという技術。

 現在の医療で行われている、PET(ポジトロン断層法)やMRI(核磁気共鳴画像法)などによる検査では、1cm以下の微小がんを検出することは困難ですが、今回開発された技術を用いれば、1mm程度の微小がんでも数10秒〜数分という短時間で鋭敏に検出することが可能になるとのことです。

 このような局所散布によるがん部位可視化技術は他に例のない世界初の技術であり、この試薬を用いることで、外科手術や内視鏡・腹腔鏡施術時に、直接微小がんの部位を確認することが可能となります。

zu1

 研究では、がん部位を見分ける鍵となるがん細胞の特徴として「GGT」という酵素に着目。
 試薬に用いられるブローブ自身は無蛍光ですが、GGTを高発現しているがん細胞に出会うことで、細胞表面上のGGTによる反応が起こり、強い緑色蛍光を発する分子へと変化します。

zu2

 患部近辺の蛍光時間による変化を右の白黒画像で示す(生きている状態のがんモデルマウスを麻酔し、腹腔内に直径4.6mmの小型内視鏡を挿入して、がんイメージングを行ったもの)。

zu3

 卵巣がん腹膜播種のマウス。開腹手術時にプローブ試薬を散布するだけで、1分程度でがん部位が強く蛍光を発するため、目視による微小がん部位の発見も可能となる。

 これらの研究成果は、11月23日発行のアメリカの医学科学誌「Science Translational Medicine」に掲載されたとのこと。
 一刻も早く実現の運びとなることを期待したいところです。

(source.スプレーするだけでがん細胞が光り出す蛍光試薬を開発 −外科・内視鏡手術における微小がん見落としの問題に大きく貢献−:東京大学)

患者必携 がんになったら手にとるガイド患者必携 がんになったら手にとるガイド
国立がん研究センター がん対策情報センター

学研メディカル秀潤社 2011-03-02
売り上げランキング : 4921

Amazonで詳しく見る
by G-Tools