詩人・谷川俊太郎が自ら朗読する「なんでもおまんこ」。
性別や種を飛び越えた大自然との交合。つまり死して土へ還ることが究極のセックスだって、そう谷川は詠ってるのだろうと思う。
「どこ行くと思う?
わかるはずねえだろそんなこと」
含んでる情景はけっこう不吉なんだろうけど、全てがお笑いの向こうに消えてしまう「なんでもおまんこ」。
おかしなジェンダー教育を子供たちに吹き込むくらいなら、この壮大な詩を教科書に載せたほうがいい。ひょっとすると大自然への愛に目覚めて、素っ裸で森へ突進する子供たちが育っていくかもしれない。
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なんでもおまんこ 谷川俊太郎
なんでもおまんこなんだよ
あっちに見えてるうぶ毛の生えた丘だってそうだよ
やれたらやりてえんだよ
おれ空に背がとどくほどでっかくなれねえかな
すっぱだかの巨人だよ
でもそうなったら空とやっちゃうかもしれねえな
空だって色っぽいよお
晴れてたって曇ってたってぞくぞくするぜ
空なんか抱いたらおれすぐいっちゃうよ
どうにかしてくれよ
そこに咲いてるその花とだってやりてえよ
形があれに似てるなんてそんなせこい話じゃねえよ
花ん中へ入っていきたくってしょうがねえよ
あれだけ入れるんじゃねえよお
ちっこくなってからだごとぐりぐり入っていくんだよお
どこ行くと思う?
わかるはずねえだろそんなこと
蜂がうらやましいよお
ああたまんねえ
風が吹いてくるよお
風とはもうやってるも同然だよ
頼みもしないのにさわってくるんだ
そよそよそよそようまいんだよさわりかたが
女なんかめじゃねえよお
ああ毛が立っちゃう
どうしてくれるんだよお
おれのからだ
おれの気持ち
溶けてなくなっちゃいそうだよ
おれ地面掘るよ
土の匂いだよ
水もじゅくじゅく湧いてくるよ
おれに土かけてくれよお
草も葉っぱも虫もいっしょくたによお
でもこれじゃまるで死んだみたいだなあ
笑っちゃうよ
おれ死にてえのかなあ
(谷川俊太郎/ポエトリージャパン)
谷川さんスゲーw
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