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 科学はいつか塗り替えられる――ということなのでしょうか。
 名古屋大や宇都宮大、神戸大などが参加する日欧の国際研究グループ「OPERA」が23日に発表したのは、質量を持つ素粒子のニュートリノが「光よりも速く移動する」との観測結果。

 アインシュタインの相対性理論は、質量を持つものは光より速く移動することができないとしており、今回の測定結果は相対性理論と矛盾しています。もし今回の観測データが正しければ、科学界に地殻変動を起こすほどの発見であり、その影響は測り知れません。

20110924k0000m040096000p_size5 報道によると、実験はジュネーブにある欧州合同原子核研究所(CERN)で人工的に作り出した素粒子、ミュー型と呼ばれるニュートリノ1万6000個を地下経由で732km先の伊グラン・サッソ国立研究所に発射させたというもの。

 実験を行ったのは、日本の名古屋大、神戸大や欧州などの研究者約160人が参加する「国際研究実験OPERA」のチームで、CERNから発射したニュートリノは2.43ミリ秒後に到着し、光速より60ナノ秒(1億分の6秒、ナノは10億分の1)速いことが計測されたということです。
 たった60ナノ秒の差ですが、許容誤差とされるのは10ナノ秒。

 この計算では、真空中の光速(秒速約30万キロ)を秒速7.5キロ(0.0025%)上回っていたことになるそうです。

 同様の実験は全地球測位システム(GPS)を使って3年間におよび、すでに1万5000回の繰り返しをみており、誤差を計算に入れても同じ結果が得られたとのこと。チームも「説明がつかない」と首をかしげており、実験データを公表して、世界中の研究者に意見と検証を求めたいとしています。

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(※OPERAと呼ばれる実験装置の一部)

 OPERA研究チームの広報を務めるベルン大学のアントニオ・エレディタート氏は、英BBCのインタビューにこう答えているようです。

「我々もあらゆる説明を試みた。ミスであってくれればと思ったが、どんな些細なミス、複雑なミス、怪しい要素も見つからなかったんだ。もちろん、まだ断定された段階ではない。コミュニティには、このクレイジーな結果を理解する手助けをお願いしたいだけなんだ。もし(計測結果が事実なら)その影響はもちろん甚大だ。クレイジーだよ」

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(※画像転載:WSJ日本版

 本音では、そのあまりに重大な計測結果に、「はやく肩の荷を下ろしたい」とも考えているようです。
 ちなみに、同様のテストがおこなえる施設は世界にも数か所しかなく、一つはシカゴのフェルミ国立加速器研究所、一つは日本のT2K実験だそうです。

 果たして、「現代物理学の基本原理に対する挑戦」は、どのような結果を呼ぶのでしょうか。ワクワクです。

(source.毎日jp / YOMIURI ONLINE / ギズモード・ジャパン)

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