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 2008年に南アフリカ共和国マラバ地方で発見された200万年前の霊長類の骨格が、道具を使用していた可能性が明らかになりました。

 セディバ猿人(アウストラロピテクス・セディバ:Australopithecus sediba)と名付けられた化石からは現生人類と猿人の特徴を併せ持つ特徴がみられ、骨格の分析からは、道具を作り使用していた可能性が浮上しています。また、化石には皮膚の化石も含まれている可能性があり、実証されれば初期の人類の祖先から得られた初めての軟組織となるとのこと。

Australopithecus sediba

 セディバの骨格は少なくとも5体分の骨220本が発見されており、その中から研究チームは2体の骨を分析しました。対象となったのは10代前半の少年と30歳前後の女性。2人は地面の裂け目から転落し、地下の洞窟で死亡しており、数時間あるいは数日以内に相次いで死亡したとみられています。血縁関係の可能性もあるらしく、周囲には動物の骨も散乱していました。
 この「死の落とし穴」には石の粒子が固まった角礫岩(かくれきがん)が堆積したため、骨が保存されやすい状態だったそうです。

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 発見された“セディバ”は、猿人と現生人類双方の特徴を備えていたことがわかっており、例えば、成人女性の骨盤の一部と右足の特徴からは、直立歩行が可能だったことがうかがえ、足首は現生人類に似ているが、かかとが細く猿人に近いのだとか。
 このような珍しい足の特徴から、身長1.2メートルのセディバは主に樹上で生活し、現生人類のように直立歩行も可能だったと推測されています。

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 研究チームが高性能のX線スキャンで少年の頭蓋のエンドキャスト(仮想的な鋳型)を作成したところ、脳の全体的な形や構造は現生人類に似ているが、サイズは現生人類の4分の1で、チンパンジーよりもやや大きい程度だったとみられています。人類学者のブライアン・リッチモンド氏によると、「我々の祖先の脳は劇的な大型化の前に、現生人類に近い構造へと変化を始めた。研究結果はこの仮説を裏付けている」とのこと。

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 また、セディバの道具作成能力は女性の右手骨格の分析でも裏付けられており、この手は初期の「ヒト族」の化石としては最も完全なものだという。ヒト族は、人類の祖先とそれらの進化上の近縁種を指しており、セディバの親指は他の指とのバランスから見ても、物をつかむ能力が人類に極めて近いと考えられています。もちろん、この長い親指は石器の製作には欠かせない能力。

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(セディバの存在はミッシングリンクを埋める?:画像転載

 研究責任者によると、セディバが物をつかむ能力はかなり正確で、長い親指を備えた手は現生人類よりも機敏に動いていた可能性すらあるそうです。「ある部分では人類を越えていたようだ」とリッチモンド氏は話しています。

(source.セディバ猿人、現生人類の祖先の可能性 - ナショジオ / ロイター)

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