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 13歳の少年が画期的な太陽光発電のモデルを発表し、アメリカ自然史博物館が主催するヤングナチュラリスト・アワーズ2011を受賞するなど、話題となっています。

 話題の発電パネルを発表したのは、ニューヨーク州に暮らす7年生(中学1年生)の少年、エイダン・ダウヤーくん。彼は同州キャッツキル山地へ冬季ハイキングに出かけた際、樹木の形状を観察したことから後の発電パネルへつながるヒントを得たのだそうです。

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(エイダン君の観察スケッチ)

 従来の発電パネルが平面だったのに対し、エイダン君が考案したのは樹木の枝葉をモデルとした構造を持つ発電パネル。この構造により、従来の平面型パネルより20パーセントの発電効率の上昇を望めるという。

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(フィボナッチ数列を示す樹木のスパイラル)

 樹木の枝が“空へ達しようとするスパイラルなパターンを持っている”ように見えたという彼は、そのパターンがいかにして効率的に太陽光を得ようとするかについての考察をはじめました。その結果、樹木の持つ螺旋状のパターンは『フィボナッチ数列』に基づくものであり、光合成を行う枝葉は互いの光を遮らない構造を持っていることを確認したのだそうです。
 
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(エイダン君が自ら作成したコンピュータモデル)

 エイダン君の計算によると“フィボナッチの木”のデザインは従来の平面パネルよりも20%以上の電気を生み出し、1日の発電時間も2.5倍に延長される。さらに冬季ともなると発電効率は50%も上回っていたらしい。

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 樫の木のフィボナッチ・パターンをコピーし、テストモデルを製作している過程の画像。

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 エイダン君のモデルが実際に画期的であるかは、今後の議論としてオープンにされています。実際のところ、科学者たちは何世紀にもわたって植物を観察し、調査を行ってきています。また、いかに効率的であってもパネル面積の比率が平面パネルを下回れば、発電効率は相対的には低下する結果となってしまうでしょう。

 その点に関しては、すでに設備利用率の面で重大な欠陥があることを指摘されているようです。しかしながら彼の樹木型発電パネルには「想像力を刺激する」という、得がたい魅力があります。その印象的なイメージが、さらなるイメージを呼び起こし、素敵な未来につながることを期待したい。

(source.ロケットニュース24 / American Museum of Natural History / Geekosystem)

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石川 憲二

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