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 昨年は新種の生物が数多く発見された、当たり年であったようです。
 米国アリゾナ州立大学の生物種探査国際研究所は毎年5月23日、前年に新種記載された注目すべき生物種を発表しているのだそうで、その中から注目すべき新生物10種、『Top 10 New Species of 2010』をご紹介します。

 ちなみにトップ10の選出には明確な基準があるわけではなく、ユニークな生態や奇妙な名前など、委員がそれぞれ独自の判断で選出しているのだとか。

Darwin's Bark Spider
ダーウィンズ・バーク・スパイダー(学名:Caerostris darwini)
 ダーウィンズ・バーク・スパイダーは、幅25メートルもの巨大な巣を作るクモで、単独の巣としては世界最大。このクモの巣の素材となる糸が、同じ重量であれば鋼鉄よりも頑丈で、ケブラー繊維の10倍以上の強度があるとして報道されたこともあった(関連エントリー)。

Bioluminescent Mushroom
ミケナ・ルクセテルナ(Mycena luxaeterna)
 ブラジルの熱帯雨林で光を放ち続ける、クヌギタケ属の新種。
 キリスト教会のミサ曲「レクイエム」の終章、「Lux aeterna」に由来する学名が示すように、永遠の光を放っているかのようだ。

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ハロモナス・ティタニカエ(Halomonas titanicae)
 海底に眠る沈没船タイタニック号の船体から新種のバクテリアが発見され、船名にちなんで名付けられた(写真はタイタニック船首の手すり)。
 同じ科のバクテリアは、タイタニック号が沈んでいる3800メートル付近の深海底では見つかっていない。また研究者によると、酸化鉄を食べるハロモナス・ティタニカエがタイタニックの劣化を早めている可能性があるという。

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オオトカゲ属の新種(学名:Varanus bitatawa)
 体長2メートル、体重10キロというサイズだが、その存在は最近まで知られていなかった。果物を主食とし、生息地にちなんで「シエラマドレ・フォレスト・モニター(Sierra Madre forest monitor)」の英名もある。
 人間並みの体長で、しかも2つのペニスを持つという。

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新種のコロギス(学名:Glomeremus orchidophilus)
 インド洋のマダガスカル沖、フランス領レユニオン島で発見されたバッタ目コロギス科の昆虫。レユニオン島に自生する希少なラン(学名:Angraecum cadetii)の花粉を媒介する種で、代役は他に確認されていない。

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ワルター・ダイカー(学名:Philantomba walteri)
 西アフリカで発見された新種のアンテロープ(レイヨウ)。
 発見のきっかけは野生動物の肉を販売するマーケットで、アフリカ哺乳類の研究者、故ワルター・N・ベルヘイエン(Walter N. Verheyen)氏にちなんでワルターダイカー(Walter's Duiker=ワルターの原始的なアンテロープ)と名前が付いている。

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タイラント・リーチ・キング(Tyrannobdella rex)
 ペルーのアマゾン地方の奥地で発見され、“ヒルの暴君”を意味するティラノブデラ・レックス(Tyrannobdella rex)と命名された、新種のヒル。アリゾナ州立大学生物種探査国際研究所の所長クエンティン・ウィーラー氏は言う。「B級SFホラー映画の題材にもってこいじゃないだろうか」。

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ナヨタケの一種(学名:Psathyrella aquatica)
 アメリカ、オレゴン州南部のローグ川で発見された、ナヨタケの一種(学名:Psathyrella aquatica)。初めて確認された“水中で育つキノコ”で、上流の冷たく澄んだ流れを好む。

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ジャンピング・コックローチ(学名:Saltoblattella montistabularis)
 南アフリカのテーブル・マウンテン国立公園で見つかった跳躍するゴキブリ。ジュラ紀後期以降、初めて見つかったジャンプするゴキブリで、後脚はジャンプに適した構造になっており、バッタとよく似ている。太めの触覚も跳躍時にバランスを取る役目を果たすという。

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パンケーキ・バットフィッシュ(学名:Halieutichthys intermedius)
 腕のような頑丈なヒレを使って扁平な体を持ち上げ、海底をヨロヨロとぎこちなく歩くアンコウの仲間、ヒメグツ属の一種。コウモリが歩く姿になぞらえて、“パンケーキ・コウモリ魚(Pancake batfish)”という英名で呼ばれる。
 唯一の生息地であるメキシコ湾のルイジアナ州沿岸および付近一帯は、2010年の原油流出事故で甚大な被害を受けた。パンケーキ・コウモリ魚のその後の安否は不明。

(source.Top 10 New Species - 2011 / 10 Incredible Species First Discovered in 2011 / ナショナルジオグラフィック)

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