Tyche

 太陽系にだれも見たことがない巨大な惑星が隠れているなどと聞くと、まるでSFの世界のような気がしますが、その謎の惑星を研究しているルイジアナ大学の天文学者、John Matese 氏と Daniel Whitmire 氏によると、その惑星は Oort Cloud という半径1光年にも及ぶ小惑星群に隠れていて、そのために誰も見たことがないのだとか。

 木星の4倍の大きさを持つとされ、やはり木星と同じガス惑星タイプだというその惑星は、tyche(テュケー)という名前。今回の発見は2009年12月に打ち上げられたNASAの宇宙望遠鏡ワイズによるものだそうです。ただし、正式に発表するためにはさらに詳細な分析が必要だそうで、それには2年ほどの時間を要するらしい。

 Tyche は大部分が水素とヘリウムで出来ている星だそうで、地球との距離は、太陽との距離×15000 のあたり。
 土星のような環を持ち、衛星もあるという Tyche は太陽の周りを周回しており、表面温度は−73度。周りの小惑星が絶対零度(−273.15度)であることに比べれば比較的高めだといえますが、その巨大さのために星ができた時の熱をまだ放出しきれていないためなのだとか。

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 ところが、その存在が証明されたとしても「他の系で生まれて太陽系に取り込まれた」説が濃厚だという Tyche は、太陽系の惑星としては認められない可能性があるといいます。
 Tyche が9番目の惑星に認められるどうかはIAU(国際天文学連合)しだいですが、古代ギリシャの『運命の女神』の名を持つこの惑星、いつか太陽系の新しい仲間として迎えられる日が来ればいいですね。

(source.GIZMODO / The Independent)

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佐藤勝彦

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