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 リュミエール兄弟によってシネマトグラフが開発され、パリのグラン・カフェで最初の試写会が開かれたのは1895年。
 エジソンのキネトスコープが発明されたのは2年早い1893年ということですが、キネトスコープが箱の中を覗き込む形式の再生機械であったために、いわゆるスクリーン投影式としての映画の先駆者はリュミエール兄弟であるという説が有力なようです。
 長い歴史を持つ映画ですからその中にもさまざまな世界初が存在しているわけで、その中から10例の世界初をご紹介します。

1.初めて一億ドルを稼いだポルノ映画
Deep Throat

 リンダ・ラヴレース主演で1972年に公開されたポルノ映画『ディープ・スロート』は、70年代のポップカルチャーに多大な影響を与えた作品として記憶されています。プロットやキャラクタービジネスを含む数字として六億ドルを示すものもあるそうですが、正確な数字はわからないとか。
 後に主演のラヴレースは反ポルノの急先鋒として活動を始めるのですが、日本で公開されたものはカットに次ぐカットで作品として成立していなかったそうです。


2.初めてDVDのフォーマットで発売された映画
twister

 ヤン・デ・ボン監督の『ツイスター』は、1996年に公開されたパニック映画。それまでのビデオカセットによるリリースから転じ、DVDフォーマットで発売された初めての作品なのだそうです。


3.初めてヌードシーンが描かれた映画
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 1915年に製作された『inspiration』は若い彫刻家とそのモデルを描いた作品ですが、女優のオールヌードを呼び物にした最初の映画とされ、同作品で女優オードリー・マンソンは裸体を披露しました。
 その後、映画界では徐々に検閲が強化され、1934年には一旦、アメリカ映画界はヌードを禁止してしまいます。驚いたことに、このヌード禁止は1964年まで解禁されることはなかったらしい。


4.初めて百万ドルのギャラを受け取った俳優
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 デヴィッド・リーン監督『戦場にかける橋』は第30回アカデミー作品賞を受賞したことでも映画史に名を刻んでいますが、もしかするとこの記録でも記憶されるべき作品かもしれない。
 俳優のウイリアム・ホールデンはこの作品に主演することで初めて百万ドルに達するギャラを受け取りました。
 その後、映画『クレオパトラ』で主演のエリザベス・テイラーは女優として初めて同額に達するギャラを受け取りましたが、皮肉なことに度重なる病気やセットの作り直しなどで製作会社の20世紀フォックスに深刻なダメージを与えてしまい、映画史上空前の失敗作という称号を受けてしまいます。


5.初めてのサイエンス・フィクション映画
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 1902年製作のジョルジュ・メリエス監督によるサイレント作品『月世界旅行』は、初めて製作されたSF作品であると同時に、まとまったストーリーの描かれた初めての映画としても記憶されます。
 1秒16フレーム14分という短編作品ながら、ヴィレッジヴォイスによる20世紀の最も素晴らしい映画の1つに選ばれました。


6.初めてメジャースタジオで“F”-ワードを叫んだ映画
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 “F”-ワードというのは、今でもアメリカ人に面と向かって口にすると命の保証はできないという例のアレですが、1967年に製作されたジョセフ・ストリック監督の『ユリシーズ』という作品では、初めてその禁断のワードを使用したのだそうです。
 今では普通に映画の中に出てくる言葉ですが、中指をたてるジェスチャーと同じで安易に使用すれば痛い目を見ます。


7.初めて女性監督で一億ドルの興行収入を得た映画
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 ペニー・マーシャル監督作品『ビッグ』は、主演のトム・ハンクスを一躍スターダムに押し上げたコメディ映画ですが、女性監督による作品として初めて一億5000万ドル以上の興行成績を上げた作品でもあります。


8.初めてCGだけで描かれた長編映画
Toy Story

 1995年に製作されたディズニー作品『トイ・ストーリー』は、全編をフルCGのみで製作された初めての映画です。


9.初めてのカラー長編映画
Kinemacolor

 世界最初の総天然色映画といえば1934年の『虚栄の市』が出てくるのですが、ネタ元では1914年に製作されたキネマカラー作品を挙げており、『the Flesh and the Devil (1914)』という作品がそれだといいます。
 調べてみると、キネマカラーとは、「ジョージ・アルバート・スミスによって発明されたカラー映画の技術である。初めて成功したカラー映画の技術であり、1908年から1914年まで商業映画に用いられた。記録時・上映時に赤・緑の2色のフィルターを用いる」とあり(Wiki)、記事には上掲の画像が添えられていました。


10.初めてのトーキー作品
Al-Jolson-The-Jazz-Singer

 トーキーとは映像と音声が同期する映画のことですが、世界初の長編トーキー作品は1927年10月公開のアメリカ映画『ジャズ・シンガー』。
 ヴァイタフォン方式で上映されたものですが、これは映写中にシェラック製の78回転レコードを同時再生するという方式であったとか。

(source.List o’ 10 Firsts in Movie History)

 ちなみにリュミエール兄弟が公開した世界最初の映画群(計12作品)の中で、最も有名なのが『シオタ駅への列車の到着』。動画は以下から。

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