アメリカ航空宇宙局(NASA)が、「宇宙生物学上の発見」とした記者会見が、2日(日本時間3日未明)ワシントン市内で行われ、通常の生物にとっては猛毒であるヒ素を摂取して生命を維持するバクテリアを発見したと発表しました。
 今回の会見を、NASAは「宇宙生物学上の重要な発見」と設定したため憶測が広がり、CNNなど国内外のメディアがこぞって取り上げるという「宇宙人発見騒動」が起きていたといいます。

 ところが実際の発見は宇宙人の捕獲でもUFOのお披露目でもなく、生命体の概念を広げるという意味での重要な発表というにとどまりました。もっとも、これだって充分に重大な発見ではあるわけですが、宇宙人発表に期待で胸を高鳴らせていた向きにはがっかりさせる内容であったのかもしれません。

 今回発見されたバクテリアは『GFAJ-1』と呼ばれ、天然のヒ素を多く含む米カリフォルニア州の塩湖“モノ湖”の堆積物から見つかりました。
 通常の生物が生命を維持し、増えるためには、「水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、硫黄(S)」の“6元素”が欠かせないのですが(DNAは、水素、炭素、窒素、酸素、リンの5元素からなり、例外はなかった)、この細菌はリンの代わりにヒ素をDNAの構成要素に持つという性質を持っており、これまでの生物の常識を覆す発見といえそうです。

 これまでにも、永久凍土や深海の熱水の中など極限の環境下で生きる微生物は複数発見されていますが、このような特徴をもつものは存在していませんでした。この度の発見で、NASAは「生命体における定義が広がった」との認識を示しており、「太陽系内で生命が存在する兆候を探索する際にも、より広く、より多様に、われわれの知らない形の生命についても考慮しなければならない」としています。



参考
GIZMODO JAPAN
Asahi.com
I’m not a scientist.
Science Japan

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