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外相“同事案にはきぜんと”
9月25日 10時4分
アメリカを訪れている前原外務大臣は、記者団に対し、逮捕した中国人の船長を処分保留のまま釈放したことについて、「国内法にのっとって対応した検察の判断に従う」としたうえで、「同じような事案が起きたときは、きぜんと対応していく」と述べました。

 画像にある民主党代表時代の発言と、引用記事との発言との隙間を埋める言葉を管理人は思いつきません。
 あえて言うと、やはりヘンタイであるというしか。

この中で前原外務大臣は、沖縄県の尖閣諸島の日本の領海内で中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、逮捕した中国人の船長を処分保留のまま釈放したことについて、「国内法にのっとって対応し、政府の機関である検察が総合的に判断したことであり、その判断に従う」と述べました。そのうえで、前原外務大臣は「東シナ海に領土問題は存在しない。同じような事案が起きたときは、しっかりときぜんと対応していくことに変わりはない」と述べました。また、前原外務大臣は、中国政府が声明を発表し、日本は船長を違法に逮捕、こう留したとして謝罪と賠償を求めたことについて、「中身を見ていないので現時点でコメントは差し控えたい。いずれにしても東シナ海に領土問題はなく、われわれの主権をしっかり守っていくことに尽きる」と述べました。さらに、前原外務大臣は、記者団が「日中関係をどう修復していくか」と質問したのに対し、「外交は外務省がやるが、内閣の総合調整は総理大臣官邸が行うので、今後どうしていくかについて、今、何かを決めているということはない」と述べました。
外相“同事案にはきぜんと”:NHKニュース

 先の記事でも述べたように、民主党にまともな保守はいないんです。

 中には保守のような顔をして潜り込んでいる者もいて、小林よしのりのように騙されている言論人もいます。
 まともな保守であれば、民主党などという日本解体主義政党に籍を置いて、平気でいられるわけがない。それが単純な真実です。

 我ながら単純すぎる理由だろうかと思ったのですが、期せずして政権与党内最大右派の前原誠司外務大臣がそれを行動で示してくださいました。

「『超法規的措置』は、取れないのか」

 22日の訪米を控えた菅首相は、周囲にいらだちをぶつけた。沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、中国の対抗措置の報告が次々に上がってきていた。

 首相は「民主党には(中国で副首相級の)戴秉国(たいへいこく)(国務委員)と話せるやつもいない。だからこういうことになるんだ」とこぼした、と関係者は語る。

 首相とその周辺が中国人船長の扱いをめぐる「落としどころ」を本気で探り始めたのは、船長の拘置期限が延長された19日以降のことだ。この日を境に中国政府は、日本人4人を拘束し、レアアース(希土類)の対日輸出禁止の動きに出るなど、本格的な「報復カード」を相次いで切った。

 実際に「船長釈放」に動いたのは、仙谷官房長官と前原外相だったとされる。

 23日朝、ニューヨーク。日中関係の行方を懸念するクリントン米国務長官と向かい合った前原外相は、こう自信ありげに伝えた。

 「まもなく解決しますから」

 那覇地検が船長を釈放すると発表したのは、その半日余り後の日本時間24日午後2時半だった。東京・霞が関の海上保安庁に、寝耳に水の一報が入ったのは、そのわずか10分ほど前。

 「戦争になるよりはいい。このまま行けば、駐日大使の引き揚げ、国交断絶もありえた」――。首相に近い政府筋は24日夜、船長釈放に政治判断が動いたことを、周囲に苦しげに認めた。

 「那覇地検の判断なので、それを了としたい」

 仙谷官房長官は24日夕の記者会見で、ひたすら「地検の判断」を繰り返し、政治の介入を否定した。

 柳田法相もこの後すぐ、法務省で記者団を前に「法相として検察庁法14条に基づく指揮権を行使した事実はない」とのコメントを読み上げた。質問は一切受けつけなかった。

 だが、こうした弁明は、世間には通用したとはとても言えない。首相官邸には直後から「弱腰だ」といった抗議電話が殺到。官邸職員は対応に追われた。

 民主党代表選での再選、内閣改造・党役員人事を経て、ようやく本格的な政権運営に着手したばかりの菅首相。「中国に譲歩した」と見られて再び世論の支持を失う失態は、できれば避けたかった。

 首相がそれでも「政治決断」を選択したのは、中国の反発の強さが当初の予想を超えていたためだ。

 19日の拘置延長決定後、中国は、20日に日本人4人を拘束、21日にはレアアース(希土類)の対日禁輸に踏み切るなど、たたみかけるように「対抗措置」を取った。日本側はこれらを公表しなかった。だが、ニューヨークにいた温家宝首相は21日夜(日本時間22日朝)、在米中国人約400人が出席する会合で、船長釈放を要求する異例の動きに出た。これが、官邸内に広がりつつあった「このままではまずい」という思いを、政府の共通認識にまで押し上げるきっかけとなった。

 「あそこまで強硬にやるとは……。海上保安庁の船長逮捕の方針にゴーサインを出した時、甘く見ていたかもしれない」。政府関係者は、そもそも「初動」に判断ミスがあった、と苦々しげに振り返る。

 菅政権の政治判断の背景には、郵便不正事件をめぐって大阪地検特捜部の主任検事が最高検に証拠隠滅容疑で21日に逮捕されたことで検察の威信が低下し、「今なら検察も言うことをきくだろう」との思惑が働いていたとの見方がある。

 実際、船長以外の船員と船を中国に帰すにあたっては、「外務省が検察にかなり強く働きかけていた」と証言する日中関係筋もいる。

 検察幹部も「外務省から、起訴した場合の日中関係への影響などについて意見を求めた」と話し、双方で早い段階からやりとりをしていたことがわかる。その際、起訴に向けた表立った異論はそうなかったとみられる。政府内に「迷い」が生じたのは、やはり19日に船長の拘置延長が決まった後だったようだ。

 船長釈放は、結果として日米首脳会談直後というタイミングになった。このため、「米国からこれ以上の日中関係悪化について、いいかげんにしろ、と圧力がかかったのでは」との指摘すら出ている。

 政府・民主党内でも、官邸の判断に対する評価は分かれる。「中国ではスパイ容疑は最悪、死刑が適用される。4人の人命がかかっていた」との危機感から理解を示す声がある一方、「レアアース問題は、世界貿易機関(WTO)に提訴すれば中国は負ける。ごり押しすれば勝てる、と中国にまた思わせただけだ」といった批判も多い。

 「菅も仙谷も、外交なんて全くの門外漢だ。恫喝(どうかつ)され、慌てふためいて釈放しただけ。中国は、日本は脅せば譲る、とまた自信を持って無理難題を言う。他のアジアの国々もがっかりする」。党幹部はうめいた。

(2010年9月25日03時16分 読売新聞)
いらだつ首相「超法規的措置は取れないのか」:YOMIURI ONLINE

 政府内に迷いが生じたのは19日に船長の拘置延長が決まった後だったようだ、とあるように、法治国家としての日本が機能していたのはこの時点までであったと言えます。後に続くのは悪しき「政治主導」であると言えましょう。どうやら前原外相の頭の中では、今回の一連の出来事が中国に対する“毅然とした対応”であるようです。

 また、首相に近い政府筋が漏らしたという「戦争になるよりはいい」などという発言には呆れてものが言えません。
 戦争を避けるために外交があるわけですから、その外交で敗北を選択することは、むしろ「戦争へと近付く道」に他ならないのです。そして日本の外交的判断は、それがいかようなものであれ、諸外国の対日本外交の指針を方向づける性質をもつものであると言えます。そういう意味で、今回の一連の政府判断は、世界へ向けて「日本は理がなくとも脅せば屈する国」とのアピールを発信したことと同義です。

 こういう報道もありました。
 民主党の岡田克也幹事長は26日午前のNHK番組で、沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり海上保安庁が撮影したビデオの国会提出について「よく相談していきたい」と述べ、前向きに検討する考えを示した。ただ、ビデオ公表に伴い中国人船長釈放の不当性が明らかになることから、党内では「国民が激昂(げっこう)してしまう」(党幹部)と慎重論もある。

 岡田氏は、自民党の石原伸晃幹事長や国民新党の下地幹郎幹事長から、最高検幹部らを臨時国会で証人喚問するよう求められたが、「国会関係者、国対でよく議論していけばよい」と述べるにとどめた。

 一方、岡田氏は「中国は大きく自らの利益を損なった。世界に中国がどういう国かを発信した」と述べ、船長逮捕を違法とする中国側の対応を批判した。
【中国人船長釈放】ビデオの国会提出「相談したい」 民主・岡田幹事長:msn産経ニュース

 中国に一分の理すら無いことを証明するビデオの公開すらしない、できない、または「中国人船長釈放の不当性が明らかになり、国民が激昂してしまう」から公開できないというのはどういう了見なんでしょうね。全方位的に外交的敗北を喫し、理のない中国に理を掴ませ、国内へ向けては自らの不当性が明らかになるから出来ない。どういう理屈ですか。

 中国は恫喝の手駒として日本人4人を拘束し、またぞろ謝罪と賠償を要求、尖閣領海へ二隻の監視船を向かわせるなど、その態度をさらにエスカレートさせています。
 そして韓国にも竹島問題に勢いづかせる結果を呼び込み、中国とロシアは蜜月を深め、どんどん日本への包囲網が狭まってきているのが現実です。この悪しき「政治主導」においてです。

 この結果を見て、どうして「戦争するよりはいい」などという見解が生じてくるのか、その倒錯したヘンタイ思考を理解することは管理人にはできません。奇しくも民主党の掲げる政治主導などというものの実態が露呈してしまったわけで、これなら従来の官僚政治の方がまだましです。

 参考までに
島田洋一ブログ (Shimada Yoichi Blog)
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