必殺仕事人2010

 “幕府で「事業仕分け」が進む中、町では武家殺しが相次ぐ。
 一方、妻・ふくの懐妊という驚きの知らせに、小五郎は!?”

 昨年放送の『必殺仕事人2009』に続き、ほぼ一年ぶりとなる「仕事人シリーズ」の新作『必殺仕事人2010』が放送されました。
 2時間スペシャルとしては昨年の新春スペシャル以来になる作品ですが、今回もいわゆるサブタイトルを持たない作品となったようです。
 ひとまず感想などは以下からどうぞ。
 ネタバレ含みますので未見の方はご注意。

 まず今回もサブタイトルを持たないと記述しましたが、これはキャッチコピーとしての、“追悼・藤田まこと”あるいは“中村主水に捧ぐ”という部分を先行させたために、あえて必要がなかったという見方もできると思います。
 個人的にはやはりサブタイトルというのは重要であろうと考えているのですが、今回の内容では一昔前の火サスみたいな陳腐なものにしかならないでしょうから、仕事人20XXシリーズはこういうものなのだと諦観するよりないのでしょう。

 さて、内容については平凡だったな、という印象。可もなく不可もなく、といった様子ですが、特筆するところもないなんて言ってしまえばレビューにも何にもならないので(笑)、なにか言っておこうかと。

 というところで中村主水は、今回から死んだわけでもなく永久欠番とでもいった扱いになるようですが、冒頭から気になったところと言えば、同僚の小五郎が主水の配属替えを知らなかったというのは、ちょっと強引かな、と。
 もちろん、「主水のことだから人知れず去るくらいのことはできるだろう」とか「そこはスタッフの気持ちを考えてあげて」とか無理に理解するのは簡単なんですけど、ドラマのセオリーから見て不自然なものは不自然。
 俺はいち視聴者がスタッフ視点で作品を理解した気になるのは、好きじゃないですから。

 それに主水の屋敷で「仕事人(*第一作)」のナレーションを小五郎が唐突に語りだすのも強引なように思う。
 せめて「一掛け二掛け三掛けて〜」と呟いた後の、小五郎が溜息をついたカットで止めておけば不自然さは緩和されていたのではないでしょうか。
 セリフの文脈にないものをどうしても盛り込みたいのであればシチュエーションを練りに練らなきゃならないと思うんですが、やっぱり変なものは変。これは涼次の殺しでも同じでしたね。
 あれは「追悼パート」だから分けて観ろって感想もあるのかなあ、なんて思いますけど、個人的には好きじゃないですね。ファンサービスだ、なんて言われても、それこそスタッフの自己満足であろうし。

 物語としては“事業仕分け”をモチーフに、派遣村や公共事業といった政治ネタを盛り込みつつ、そこそこ無理なく収まってるとは思いました。
 ただ、やっぱり首をかしげてしまう部分というのはありまして、大体においてこのシリーズ(20XX)は細かいところを気にしだすと切りがないという傾向があります。
 たとえば派遣村(?)の寺というのはいいとして、寺の本尊が不動明王かどうかなどをわざわざ小五郎たちがリサーチに行くというのもヘン。
 寺社方と町方は協力関係ができている(という設定として、わざわざ描いてるよね)わけだから、そんな基本的なことは書庫番で調べ上げることはできているはず。

 そこを援助する旗本・柿本平三郎に身をやつしているのが勘定吟味役の風間右京乃助というのもそうですし、まあこれは言いすぎたとしても、陣吉たちが無差別に武士を暗殺していた理由というのが「のうのうと暮らす侍は無用の長物」だから根絶やしにするというのは頭が悪すぎやしませんか(笑)。
 公務員削減と関連付けてのテロリズム――とでも言いたいのかもしれないけど、こういう前提だから匳が江戸を逃亡するのにも無理がありまして。さすがはテレ朝、甚だしく説得力はないなぁ....。
 平三郎(右京乃助)曰く、
「江戸には何百いや何千という武士がいる」。

 いやいや、百万都市江戸のほぼ半数は武家ですよ(苦笑)

 あとはそうだなあ、内藤剛志演じるカルタの力(“かるたのか”に読めてしまって仕様がないww)をもっとストーリーに絡ませてほしかったというのは正直、思いましたね。藤田さんの訃報で急なキャスティングだったのかもしれないから無理もないとは感じますが。
 でも内藤さんならシリーズレギュラーでも充分成立しますね。悪くないと思う。とはいえ、殺し技はもうひと捻りほしいところ。

 キャスティング的には、筆頭老中・沢木丹波守輔忠(演:津川雅彦)を右京乃助が殺害するところは、意外性を感じて良かったかな。津川さんを使ったのは、この意外性を狙ってのことだと思いますが、これは脚本の出来不出来を止揚しないから、避けるべき手法だとは思いますけどね。
 あと、BGMはところどころが浮いて聴こえる。
 選曲的にも「え? ここでこのBGM?」というのがいくつかあって、まあこれは好みの問題かもしれないですから余計かなあ。
 最後の殺しで小五郎が突き技を使ったのは、主水を意識してのものでしょうね。これは良かった。

 というところで最後にこれだけ言っておくと、仕事人20XXシリーズは、あまり老中とか大老とかいうでっかいパーソンや、掘り下げの浅い“政局”などに拘らずに、仕事人vs○○の対立軸とか、視聴者が単純に燃える設定をちゃんと考えた方がいいと思う。
 でっかい地位のキャラを出す=スケール感が増す
 という方程式は間違いだから。

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