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 先日、津川雅彦さんの政治小ネタを取り上げたことと関係があるというか単なる偶然なんですが、地元では津川さん主演の「必殺橋掛人」が再放送していましてね。いい機会だから、必殺シリーズ第24作・必殺橋掛人について語ってみます。

 考えてみれば、我田引水の必殺論を語ったことは何度もありましたが、映画を除く過去作を単独でエントリーするのは初めてでした(放映中の作品は除きます)。ネタに困った時に、またやってみよう(笑)

 さて、その必殺橋掛人。タイトルはすでにネタ切れの時期を過ぎており、当時のプレスにも「悪人を冥土に送るための橋を掛けるという意味の造語」だと表明されており、かなり無理やり感があったことは否めません。
 この頃には必殺は「主水(仕事人)シリーズ」と、間の中継ぎ作品というスタイルが確立されており、過去エントリーでも語った“水戸黄門化”というマンネリ志向が顕著になっています。
 要するに、必殺という様式が世間に認知されたという意味での安定志向に入っていたというわけで、そのあたりは既述に譲ります。

 では、この橋掛人。見るべきところがないかというと、そうではない。
 津川さんが格好いいとか過去作品での悪役からの主役昇進とか、そういうのはともかく置いておくとしてですね、特筆すべきところは「安定志向と慣例の打開」という両軸をうまい具合に昇華しているという部分。

 まず前者でいうと、早坂暁の「からくり人」に始まる、「絵に隠された謎に沿ってあらかじめ仕掛けが想定されている」という部分を踏襲しているというところと、それに「先代の元締の遺志」を絡ませていることで、無理なく物語を展開させているということが挙げられるでしょう。
 この辺りは先の失敗作「仕切人」を、前に書いたように「プチうらごろし」と設定すれば、いわば中継ぎ作品における無印仕事人みたいなもので、一種の原点回帰作品として考えられないこともない。

 後者に関して言えば、「非主水シリーズは主役が女性」という慣例のようなものが当時はできあがっておりまして、その慣例を、津川さんを主役に据えることで久々に破っています。とはいえ、実質元締役の西崎みどりさんがいますが、これは別の慣例でしょう。実際、橋掛人は後期必殺(の後期)作品の中では、冒険をせずに手堅くまとめられている作品であると思えます。

 で、この慣例がどの辺りからできてきたのだろうなー、と考えてみたら、やっぱり早坂からくり人でした(笑)
 それ以降の中継ぎ作品は、

 からくり人(1作、血風編、新、富岳百景殺し旅)
 仕舞人(1、2)
 渡し人
 仕切人

 と、基本は女優を主役に据えることで主水シリーズとの差別化を図ってきたきらいがあるのですが、橋掛人は元締役の西崎みどりさんという楔はあるものの、そこのところを破っているという決定的な変化がある。ここは結構大きくて、以降の「必殺まっしぐら!」と「必殺剣劇人」では、その慣例は完全になりをひそめています。

 まあ、細かいところは置いておくにしても、橋掛人が、

 うらごろし→仕事人
 仕切人→橋掛人

 という部分と、奇妙に対比できるのは否めないと思う。この頃になると、必殺って新味を提起することを見失っていて、例えば、過去作品で好演した俳優などをスピンオフじゃないけれど繰り返し起用するというのが、振り返ってみても個人的にはマイナスのイメージになっていました。

 前作の仕切人なんて必殺オールスターズみたいな俳優をずらっと揃えてたわけですが、ちょっとこれはやりすぎじゃないか?というのを、個人的にも感じていたわけです。同じイベント作品なら、過去作品と同じキャラクターを共演させるほうが(ウルトラマンメビウス的に)視聴者は燃えたりするわけで、こういうのって未練たらしくてマイナス要因にしかならないと思う。この辺りは視聴者の世代交代をうまく綱渡りしている一方で、そこに理解のおよばなかった製作者の葛藤も垣間見えたりします。また熱心なファンに限って、そこに気付かなかったりするんですが、そこは一つ穴のムジナというところ。

 もちろん橋掛人にも西崎さんという連投枠があったわけですが、その他のメンバーは新規採用の俳優さんで、ここも評価できる部分だったりします。まあ津川さんは悪役で前期必殺には常連であったわけですが、この頃の津川さんに「アチョーッ!」とか言わせてサンドバックどつかせたりはできなかったわけで(笑)、そういう意味では新鮮味のある布陣だったのではないか(まあ、渡し人もそうだわね)。
 ぼんちのおさむちゃんは余計なテコ入れだったと思うけど(笑)

 とにかく橋掛人自体は安定感のある作品で、これは津川さんの存在によるところがもちろん大きい。この人って作り込みすぎた臭い芝居をすることもあって、そこのところは正直言って苦手なんですけど、やっぱり上手な俳優さんなのだろうと思う。

 個人的には、柳次の殺し技は結構好きです。2009の匳(れん)も、パクリなんて言われることを恐れずに着物の刺繍から糸を引っ張り出してりゃ良かったのにね。あれ、ケレン味があって文句なく格好いいわ。

 
 以下、作品データ。

・必殺橋掛人:キャスト
 柳次 … 津川雅彦
 新吉 … 宅麻伸
 松 … 斎藤清六
 おくら … 萬田久子
 伊太郎 … オサム(現・ぼんちおさむ 第9〜13話)
 多助 … 長谷川弘(第1話)
 番頭 … 北見唯一 ※第1〜5話は、呉服屋番頭、第6〜9話は、呉服問屋の番頭と表記。
 お咲 … 安孫子里香
 お紺 … 高部知子
 お光(春光尼) … 西崎みどり

・ナレーション
 語り … 中村梅之助
 作 … 山内久司

・ 主題歌
 「さよならさざんか」
 作詞:宇山清太郎 作曲:平尾昌晃 編曲:竜崎孝路 歌:藤田絵美子
・挿入歌
 「もどり道」
 作詞:只野菜摘 作曲:宇崎竜童 編曲:入江純 歌:西崎みどり

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