hissatsu

 仕事人2009が始まって、初めてのレビューということになるのかな。
 ちょっと今回のお話はグッときちゃったんで、思うところを書いてみます。

 さて、テレビシリーズが始まって以来、ホストクラブに消費税にドラッグ問題に新興宗教に、果てはモンスター・ペアレントに……と、現代の病んでしまった社会風俗を織り込みながら展開してきた仕事人2009。
 個人的な評価としては、コンスタントに安定した内容を提供してくれているな、と感じてはいます。
 今作をいわゆるところの「必殺シリーズ」というよりは「仕事人シリーズ」と考えたほうがいいと思っていますので、レビューも必然的にそういう切り口になるのですが、というところで。

 その「仕事人シリーズ2009」の、今回の話がひとまずの転機になるだろうと思われる、タイトルもなかなか渋い『鬼の末路』。
 テーマとしては、ニート問題、そして昨年の秋葉原無差別殺傷事件という、記憶に生々しいところを扱っています。

 ネタバレ含むレヴューは、以下から。

 まず前提として、ちょっとテーマが重すぎる、とは誰しもが感じるところ。俺のように感性が鈍感になっている向きはともかく、リアルに映像というものをキャッチしてしまう質の視聴者にはキツイ部分はあったのかも。

 とはいえ、そこら辺は経験的に理解しているであろうスタッフですんで、冒頭の遊郭での無差別殺人の描写では直裁に鮮血を見せるようなこともなく、ライティングとカメラワークで臨場感を出しているものの、ある種の無機的な映像に仕上がっています。段階としては、無差別殺人のシーンで視聴者を「え?ええっ?」とポカーンとさせながら、血に濡れた刀を、犯人=黒頭巾が洗い落とそうとするシーンで「生っぽさ」を見せようとしている感じ。

 で、この通称・黒頭巾と呼ばれる無差別殺人鬼というのが、小山内儀助(演:荒川良々)という人物なのですが、ドラマの中で知れるところというのが、「十年前に家長であった父親を失って、今は母親と二人暮らし。蘭学の塾などに通ってはいるが、働いている様子はなく、三十を過ぎて芽の出ない自分を蔑んでいる感じで、無気力な人物。使用人は中間と下男を入れた三人らしい」といったところ。

 で、要するに何が言いたいのかというと、現代での時事モチーフと時代劇をオーバーラップさせる手法というのは、そもそもの必殺ないし仕事人シリーズが行ってきた伝統みたいなものなんだけど、軸を分散させるとちょっと無理が出るのかもな、と感じた部分。
 今回でいえば、仕事人側のストーリーの軸が源太と涼次の双方に振られているために、トータルとしての「仕事人の業」を描いているんだけど、浮上してくるのは小五郎の非情さばかり、というところなわけです。

 時代劇って、少なくとも一時間枠のテレビ時代劇に関して言えば、縦軸と横軸があれば大枠は共通概念の部分でフォローできるのよね。
 必殺でいえば頼み人が縦軸で、殺し屋が横軸。ドラマ性の部分は比重で変えていけばいいだけ。
 だけど、今回は悪人の側が「ニート」と「無差別殺人」と二つの軸を持ち、仕事人の側も涼次と源太という、それぞれの軸を持ってる。前者については問題ないと思うんですが、後者の場合となると、涼次の軸につくのが主水であって、源太の軸につくのが小五郎、といえるのかな。

 小難しいことを言って申し訳ないんだけど、基軸の部分を分散させる手法というのは、例えばアメリカのTVドラマ「 HEROS 」なんかを思い起こしてもらうとわかりやすいんだけど、キャラクターそれぞれが同時並列式にしか存在しえないんですよね。非常に個人主義的なパーソナリティーで物語を展開させていくわけです。

 だから……今回の物語に関しての印象を述べさしてもらうと、涼次が仕事人としてのアイデンティティを主水の一言によって傷つけられてしまう部分、そこのところは別のエピソードに譲っても良かったのではないか、と考えるわけなんです。
 悪人の側と仕事人の側をオーバーラップさせるのはアリなんですが、上手く集約させないと物語の軸が分散したままで終わってしまう。

 だから涼次と源太双方の現場に小五郎が出張ってなくちゃならないという、不自然と言えば不自然なシチュエーションになっちゃう。非情というか、マメな奴やな、と(笑)

 それに、今回のストーリーって露骨に最終回の展開なんですよね。
 今回のような物語で、涼次編、源太編という感じに使い分けていれば、中盤の山場として評価されるのではないかと思うんですが。

 それとも、今回の展開って最終回を想定していたのをテコ入れしたのかな?
 あ、それはありそうだな。話数が延長されたらしいですしね。

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